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イントラネット2.0について

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僕は現在サイボウズにて、FeedpathというWeb2.0アプリケーションの企画開発、事業推進の責を負っている。Feedpathは、Web2.0におけるテクノロジーや思想に基づくSAS(Software as service)である。

このFeedpathの基本概念になっているのはFolksonomyと、僕が提唱するFeed2.0という考え方だ。Webが1.0→2.0に進化するのであれば、Feedも進化する、ということだ。


今日は、ここでもう一つ、Feedpathとは直接関係はないが、間違いなく2006年に兆しが見えてくるであろう、別の2.0的進化を示しておきたい。


それは、「イントラネット2.0」、である。


インターネットを「海」に例えると、従来のイントラネットは「湖」であった。この10年で、Web、TCP/IPといったインターネット技術がイントラネットを変えたといっても反論はあるまい。グループウェアがWeb型になり、EIP(社内ポータル)も普及し始めた。この現象は、海から海水が流れ込み、水質が変わってしまった湖のようなものだ。(こういう淡水に海水が混じった湖を「汽水湖」という)


つまり、始めの社内LANをイントラネット1.0 とすれば、汽水湖的にWeb1.0の影響を受けたイントラネットは1.5的であると言える。イントラブログや社内SNSの台頭、エンタープライズサーチの導入の一般化などが具体的な現象である。インターネットにGoogleがあり、BlogがありSNSがあるのと同じことだ。つまり、イントラネットにさえもWeb2.0の影響が及ぶのである。

この現象は今後ますます進み、イントラネットはインターネット上に見られる構成とほとんど変わらなくなるだろう、と思われる。この状態を「イントラネット2.0」と呼べると思う。


ところが、イントラネット2.0は、Feed2.0と比べると、より過渡的な状態である。

僕の考えだと、イントラネットという存在は完全に消滅したりはしないまでも、今後はホスティングサービスによる企業内ネットワークのアウトソース化が進むと考えている。これはSOX法や企業のコンプライアンスの考え方、個人情報管理などのコストアップを企業が避ける方向にあるということと、結局SaaSのムーブメントが企業ユーザーにも根付くと考えているためだ。


つまり、Web2.0の破壊的な波は、イントラネットという湖を大海の一部としてつないでしまい、その水質を大きく変質させてしまう。そして、SIerや従来型のソフトウェアベンダーの多くのビジネスモデルを破綻しかねないほどの変化をもたらしてしまうと考えている。


イントラネット2.0 は、今年から来年にかけて、主に中堅以上の企業に対して実現してくると考えている。そして、その先は、インターネットとイントラネットの区別ではなく、全てのネットワークがWeb2.0的に変質し、接続された状態になっていくと予測する。


もちろん、そうはいっても例えばWeb1.0的企業全てが消えるわけではない。現時点でWeb1.0的企業のトップと目されているような企業は、影響力を落としつつも生き残るし、事業的にも成功する。しかし、追随者はことごとく滅ぶと思う。現在の成功者に対する挑戦者が次の世代で勝利を得ようと思えば、自らを次世代に最適化するしかないと考える。Web2.0がもたらすインパクトを正確に認識すると、イントラネットを含み、全ての市場に対して破壊と創造を与えかねない大きな波であることが見えてくるのである。


++ 『Web2.0BOOK』では、だからどうしよう、とは書いていない。

   現状認識の支援となる材料を多く置いてある。


++ 「イントラネット2.0」は、今そこにある危機、と言っていい。


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