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ゲーム理論とGoogle Base (Web2.0の非技術論的考察-4)

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Google Baseについての考察は、各メディアや内外問わず多くのBloggerが各自の意見を公開している。
Google Calendarなどのまだ見ぬサービスのリーク情報の影響についても言えることであるが、今やネット業界はGoogleの作ったルールによって振り回されるようになっており、Googleのちょっとした動きに全員が右往左往しているのが現状だ。

これは、明らかにゲーム理論の一つの例になったと思う。

ゲーム理論とは、複数のプレーヤー達が一定のルールに基づいて利益の最大化を狙って争っている状態(すなわちゲームの中)で多く見られる行動を分析・数値化することによって、経済や政治などの予測を行うことである。プレーヤーの数が決まっていると、一人が勝つと誰かが負ける、つまりゲームの中でプレーヤー同士の動向が互いに影響を及ぼす。つまり勝ち負けがはっきりしていることによって、プレーヤーの行動に一定のパターンが生まれてくるというものだ。

例えば、記憶に新しいものを挙げると、前回の選挙における自民党の圧勝パターンだ。
このゲームのルールは、『郵政民営化に賛成するか反対するか』であった。小泉首相の勝因は、国民に対するメッセージを単純化して、このルールを周知させることに成功したことによる。賛成 or 反対を明確にする、というルールの中で、賛成したものが勝ち、反対もしくは曖昧な態度をとったものは負けた。
ゲーム理論の面目躍如は、このルールにつきあわなかった(そして別のルール、例えば消費税論議などを国民に与えようとした)民主党が大負けしたことだ。岡田さんは、今回のゲームのルールをよく理解していなかった、ということになる。つまり、いったんルールがはっきりしたら、それに沿う行動をしない場合は勝負に参加さえできなくなるのだ。

Web 2.0というキーワードを皆が使い、僕も使うのは、いまやネット業界においてはWeb 2.0に当てはまるサービスやカルチャーを持つことが”ゲームのルール”だからである。AjaxにしてもMashupのためのAPIにしても、Googleが火をつけた。Googleの凄みは、Google Base自体の目的は別として、上述の小泉さんと同様、ネット業界に次から次へと新しいルールを周知させ、そしてそのゲームに参加しないことには何も始まらないような状況を作り続けている、ということなのである。

Google Baseがリリースされれば、eBayなどの手数料モデルのマッチングサービスはそのビジネスモデルの再構築を迫られると思うし、Ask Jeevesなどの検索サービスも単に検索精度での勝負を挑んでも意味が薄くなることを理解しなければならないだろう。
何度も言うが、Googleや今やネット業界のゲームのルールを作る側に回ることに成功しており、その意図を理解した上で勝負に挑まないと、ゲームに参加することさえかなわない状況になってきたと僕は考えている。

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