言葉もソフトも組み合わせてみるといいね。 [Web 2.0の非技術論的考察-2]
現在Webの世界を席巻しているのは、既存技術の組み合わせと、その頭文字や韻を踏んだ造語だ。
例えばAjax。リッチなWebアプリケーションのUI設計(インターフェイス設計)に欠かせないテクニックとなったAjaxは、Asynchronous JavaScript + XMLの略。要はJavaScriptやXML、CSSなどを組み合わせてUIをリッチにする手法で、何も最新の技術ではなく、使い古された技術を組み合わせて磨き上げた、というものである。最近ネット企業、特にWeb 2.0を標榜するような企業の間ではこうした造語と「技術の組み合わせ」が流行っている。
プラットフォームに目を向けると、LAMPがある。これはLinux、Apache、MySQL、PHP、Perl、PostGreSQL、Pythonといったオープンソースの組み合わせで、OracleやWindows、UNIXなどの有料のサーバーOSやDBを使わず、Webサーバーもオープンなものを使うという、徹底したコストカットと特定企業の影響範囲から逃れて自由な開発をしていくための手法である。
LAMPはWebアプリケーションの構築環境であり、AjaxはWebアプリケーションのUI技術だが、どちらも従来からある技術の「組み合わせ」に過ぎない、とはいえ、それ以上のモノでもある。採用した結果得られるものは、UIでいえばFLASHに劣らぬリッチな操作感であり、.NETやJavaに劣らぬ優れたパフォーマンス、であるから。
さらに、僕が(サイボウズの一員として参加している)FBSで、その普及に努めさせてもらっているRSSは Really Simple SyndicationあるいはRich Site Summary の略だ。(ほぼ全てのこうした流行に、既に僕もかなりの度合いで関与していると今更ながら実感)
先日エントリした「Mashup? マッシュアップ?」でも書いたように、最近はとにかく様々な異なる情報源やサイトから得たデータやソースを組み合わせて、独自のコンテンツを作り上げ発信していく。そういう手法(とその結果できるサービス)を積極に採用できること。それが、Web2.0的企業の条件の第一項だと思う。
その組み合わせの素材は、ほぼ全てがオープンソースによるものだから、素材そのものではいくら組み上げても大差ない。ところが、同じパーツのプラモデルを使っても、バリの取り方や組み方の巧さで仕上がりに大きな差が出るのと同じで、Webアプリケーションには設計者のイマジネーションやエンジニアの技量によって、全く別のモノが出来上がるのである。つまり、ルールやレギュレーションが同じ条件下で、ビジネスマンとエンジニアが力を合わせて良いプロダクトやサービスを生み出すための切磋琢磨を続ける時代。それがWeb2.0の幕開けたる2005-2006年である。
腕が鳴るか、歯噛みするかは、自分次第だ。愉しい時代がまた来てくれたと思いませんか?