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組織、マネジメントの理論とその実践を、スポーツ・学校を通して考える。

本物になるために〜いやなことをやる

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なぜ本物に触れる経験が大事・必要なのか・・・

それは「本物になるため」だと思う

桜井章一さんという人がいる。ある世界で20年間無敗 「鬼」と言われた人。その桜井さんに、一人の大学生が手紙を出した「どうしたら強くなれますか?」

桜井さんは「日常生活がだめなヤツは勝負どころか、何をやってもだめだ。まず日常を見直せ。嫌なことからやれ」と返事を書いた。大学生は「嫌なことは何か・・・と考え、それは『勉強』だ」と答えを出し必死に勉強に取り組んだという。その結果、3年間で卒業に必要な単位を取り首席で卒業した。

この話は心にズドーンときた。人は好きなこと、楽なことは強制されなくてもやれる。好きなことをしていれば楽しい。でも、それだけじゃ本物になれない。嫌なこと、誰もが嫌がるようなことにやり切って、人間が出来上がっていくということ。

好物は食べるが、嫌いなものは食べない・・・これでは成長は偏ってしまう。心も体も同じ。

自分も「嫌なこと」「苦手なこと」をやろうと思った。サッカーのコーチングライセンスを取りに行こうと決心したのもそういう思いだった。元Jリーガーもいる中で、40歳近くの素人がドリブルやフェイント、リフティングをするのは嫌でたまらなかったし、苦痛でしかなかった。「このおじさん、サッカーできないのに何しに来てんだろ」って思われていたはずだ。当時、高校サッカーの顧問でコーチングライセンスを持っている人なんて、本当に限られた優秀な指導者だけだった。夜になると家の前でサッカーボールを蹴って練習していた。滑稽だったろう。

生徒達にも「いやなことやろう。いやなことをやってくれ」「クラスで委員を決める時は、手を上げよう」「誰もやる人がいない時、進んでやってくれ。それが大事なんだ」と語った。選手達は、各クラスで委員や係りを決める時に積極的に手を上げたらしい。多くの担任からは「野球部のおかげで、クラスの委員はすぐに決まった」と感謝されたが、自分は感謝される立場ではない。生徒達には感謝の気持ちでいっぱいだった。

「学校祭の責任者、誰もやりたがらないから自分が手を上げました」学校祭のクラス責任者が野球部だらけだったこともあった。素晴らしい生徒達だった。

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