オルタナティブ・ブログ > 熊谷修司の最高のチームを創る >

組織、マネジメントの理論とその実践を、スポーツ・学校を通して考える。

体育会系組織~上下関係

»

昨年、ある大学のアメフト部で飲酒による死亡事故が起きた。4年生が新入生に飲酒を強要し、それを断る事ができないならわしだったという。

希望を持ち大学生活を歩み始めた途端の、遺族にとってあまりにも悲しい事件。

教員であり、クラブ活動を指導しているものとして深く深く考えさせられる事件だった。このような事件が起きたこと自体大変残念であるが、このような体質がまだ残っていることに対し、指導者の一人として反省しなければならない。

大学生ともなれば、クラブの運営は自分達で考えるべきもの。このような上下関係を止めようとした者はいなかったのだろうか。きっといたにちがいない。でも結果として変えることができなかったのだろう。それが、人ひとりの命を奪うという事件を引き起こした。

彼らが中学・高校で経験した部活動は上下関係が維持された、「年上が偉い」というものだったのだろう。それをそのまま大学でも続けたきた。そのような彼らが、上下関係のない部活動を経験していたら・・・。と考える。中学・高校の指導者たちこそ、この変な「先輩後輩」関係を撤廃するべきなのだ。

同じ年代の子供たちが集まってスポーツをする場面で、わずか1才2才の違いがそんなに大きなことなのだろうか。自分は疑問に思う。

年上が年下の面倒をみる事こそ、正常なありかたである。経験のない、力のないものに代わって雑用をこなしたり仕事をするのが年上の役割。20才を越えた人間ならば、それは理解できるだろう。

部活動で生徒たちに「先輩後輩の上下関係はプレーの邪魔。準備も後片付けも上級生の仕事」と言った時、始めは反発もされたが、「自分達も嫌な思いをしてきた」彼らは納得して実践した。今では、それが当たり前。

指導者の仕事は人を育てること。いびつな人間関係からは、人は育たない。

今回の事故を、そのように受け止めた指導者は何人いたのだろう。この事故の本質は、今まで日本全国の指導者が部活動をどのように運営してきたのか、ということ。

柔道でもやっと「おかしい」という声がでてきた。あれは筑波大の山口香さんが「スポーツの正しいあり方」を見据えているから。

指導者こそ変わらなければならない。

Comment(0)