オルタナティブ・ブログ > イメージ AndAlso ロジック >

ヴィジュアル、サウンド、テキスト、コードの間を彷徨いながら、感じたこと考えたことを綴ります。

外的要因で変わるファッション事情。お気に入りを着られる日は来るのか。~ファッション考(3)~

»

前回に書いたような事情で、必要最低限よりも多くの衣類を持つことになった筆者。
それなら、毎日コーディネートを考えて、オシャレを楽しめばいい、とおもうかもしれない。

いや、それは、人それぞれ。筆者にとっては、お気に入りの同じ服を数点揃え、交替で着て、汚れたら洗濯、というライフスタイルのほうが好ましい。

ところが、これが叶わない状況だ。室内ではまだしも、外出となると、着用の都度、着替えている。
オシャレ目的ではない。洗濯目的だ。アウターや帽子まで、洗濯せざるをえないのだ。

香害である。
いまや大気中には、高残香性柔軟剤、抗菌系合成洗剤、除菌消臭製品に含まれる物質が、漂っている。薄い場所もあるが、充満している場所もある。そうした空間に身を置けば、それらの物質が、着衣に衝突し、付着する、その多くには、香りやニオイがある。つまり、移香する。

不特定多数の利用する閉鎖空間では、十中八九、移香する。
それどころか、道を歩いていても、しばしば、すれ違うひとから、移ることがある。なにしろ、さいきんの日用品ときたら、無人の幹線道路に、数十メートルにもおよぶニオイの痕跡を残す。大した技術力だ。

これでは、お気に入りの服を着ることなどできやしない。

移香を除去する方法が確立されているならまだしも、絶望的。それ以前に、移香除去の作業なんぞに、ただでさえ短い睡眠時間を奪われたくない。繰り返し洗濯も、10回まで。それ以上は、ごめんだ。
仕方なく、捨てたとしても諦められそうなものばかり着るようになる。

そして、廃棄の候補となる衣類が増えていく。着られる衣類が、少しずつ減っていく。

仕方なく、ストックを引っ張り出す。それも、移香する。ストックが亡くなれば、購入するしかない。ところが厄介なことに、いまや新品にまで移香がみられる状況だ。ダンボール外からの貫通移香。梱包スタッフからの移香。商品そのものが強烈な柔軟剤臭を放っていることもある。
メルカリで無移香の品かどうかを確認するには、どう質問すればよいか。どのショップで買えば、無移香の品を入手できるのか。SNS上には、そんな情報が行き交っている。

さいわい筆者の場合は、前回書いたように、親からのダメだしをかわすために、香害来襲前に買ったストックがある。香害が去るその日まで、手持ちで間に合うだろう。何が幸いするかわからない。

お気に入りはお蔵入り。
外出時はオシャレをしない。
そのようなライフスタイルに切り替えたひとは、筆者だけではない。SNSには同様のポストが散見される。

香害は、移香を感知できる嗅覚の持ち主の、ファッション事情を、大きく変えてしまった。

移香を気にすることなく、着たい服を着る。
洗濯は、汚れた場合に、一回転のみ。
全国に、どれほど、このことを願っているひとがいるだろうか。

fasionblog4r3.png

Comment(0)