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マクドナルドでわかる45歳定年制の本質と転職3つの極意

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転職市場での中高年の定義はさまざまですが、一般に35歳を超えてからの転職は難しいとされます。若いうちはまだ転職ができるけど35歳を超えてからの転職は難しい、そういう難しい年齢層を指すようです。その35歳から中高年という中高年転職市場で筆者は6回の転職をしてきました。自分でいうのもおこがましいのですが、「その道のプロ」といえると自負しています。

その中高年転職のプロから見て、45歳定年制というサントリー新浪社長の提言は日本の職業感や転職感を変える意義深い提起だとみます。その意義の解説とともに、45歳定年制社会に生き残る3つの極意をご紹介しましょう

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1:若いうちに一度は転職しとけ

「いきなり45歳で放り出されても困る」という45歳定年制提案に反発する大方の反応はもっともです。しかし、60歳とか65歳まで安泰だと思うなよ という企業からのメッセージがあったら、将来に備えて若いうちに転職しておくのが合理的な選択と見えてくるでしょう。最初に就職した先が「終身雇用」ではないと分かっていたらスキルを身につけて転職できるように備えるような働き方に変わることでしょう。

筆者の場合は、バブル期に生命保険会社の「総合職」として就職して、パソコンを使った事務と営業を経験したわけです。営業ノルマという苦しみのなかで第二新卒という当時、リクルート社がはやし立てた言葉に乗ったわけですが、「若いうちで景気がいい時の転職は楽イージーモードだからまずはそこでジョブチェンジしとけ」という後付の教訓を得ました。

時代が不景気に当たったら転職先は減るでしょうがそれでも若いうちの転職はやらずに後悔するよりは、一度転職して転職スキルを上げたほうがまだいい、と今になって思います。

2:逃げる転職は失敗する とかのアドバイスは生存バイアス

オルタナティブブロガーの大木さんのエントリー「逃げる転職は失敗する」に対して長らく反論したいと考えてきました。

日本では、無闇に転職が多い人を良しとはしないところがありますし、1社が数ヶ月のところが複数あったりすると、本人が何を説明しても「あー、すぐに辞めちゃう人なんだ」と見られる可能性が高まります。事実がどうあれ、相手がどう考えるかをコントロールできませんよね。

成功された社長が人を採用する時に、転職を繰り返している人はまたウチでも辞めるんじゃないかと警戒するのは分かります。しかし、就職して勤務して初めて社長がパワハラ体質だと分かったとか、やっぱり耐えられないとかいう失敗は起こり得るものです。逃げてばかりでは成功できないという人は逃げずにそこで成長できたと実感している生存バイアスでいっているだけかもしれません。

耐え難い職場でもある程度我慢できる間は耐えよという意見も分かりますが、本当につらかったら早く損切りして辞めたほうがいい と耐えたり逃げたりしてきた私は思います。

戦争中の軍隊とか規律として逃げちゃダメ、逃げるやつは強烈な処罰をくだす という組織もあるそうですが、一般企業で手続きを踏んで転職活動をして転職するということは正当な手段です。

成功の近道は数多くトライをして失敗のノウハウも積むことだという今のマーケティングセオリーから考えても、熟考した転職を何度か繰り返すことは恥じるようなことではないし、「失敗する」なんていう 呪詛を投げつける成功者に対しては 数多くの屍を乗り越えたあなただからそう思うんでしょうけどね、と心のなかで思えばいいわけです。

3:成功はゴミ箱の中に ー 失敗を繰り返し学んでこそ成功がある

45歳定年制と聞いて思い出したのは、伝説の経営者レイ・クロックがマクドナルド兄弟のハンバーガー店を見出し、フランチャイズ展開の権利を買い取って52歳で創業した話です。レイ・クロックはマルチミキサーのセールスマンをしていて、8台もミキサーを買ってくれたハンバーガー店の可能性を見出したわけです。バンドマンや不動産の営業といった様々な仕事をやってきたなかでレイが成功をつかめたのは失敗を恐れず、糧として活かせたからでしょう。

誰もがレイ・クロックのように成功できるわけではありません。しかし、失敗を恐れず失敗に学びながら成功するまでチャレンジを繰り返すことは、私もできるのではないかと思わされました。

45歳定年制社会と覚悟して失敗を繰り返せ

私の考えたキャリアを積むノウハウは3つ、若いうちに転職して経験を積め、耐えられないほどつらかったら我慢せず逃げろ、失敗に学び経験を積めるなら恐れず失敗を繰り返せ、です。この自分なりのノウハウもまた生存者バイアスかもしれないのですが、生存しがたいほどつらいなら逃げていい、逃げたほうが楽になれる という点は経験を語れない、生存できなかった人も、そう考えるはずでしょう。

爆撃機の生存者バイアスとして、銃弾を受けた場所の図解はそこがクリティカルでなく帰還できるゆえだという話があります。逃げちゃダメだという人は生き残ったから語れるわけです。「死ぬこと以外かすり傷」というフレーズもありますが、瀕死の重傷は後遺症も残るわけで、クリティカルなダメージを避けて学べる程度の軽い失敗を繰り返しながら成功に近づくのがいい人生ではないでしょうか。

失敗はしたくない という気持ちも分かりますが、リカバリー可能な範囲で、システム用語でいうところのエラーバジェットという考え方をとりいれながら、自分が考えた目標が本当に正しいのか考えて調整もするダブルループ学習をしながら「失敗」を数多くやり続けたい、そう願っています。


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