政策炎上で民意を固める新しいポピュリズム下の五輪2020
東京五輪会場での酒類提供検討というニュースが出てほぼ一日で撤回となりました。私は、前のパブリックビューイング中止とあわせて政策を炎上させて民意を固めるという2020年代的ポピュリズムの形なのではないかと考えています。
政府や都知事から、五輪を観ながらワイワイ盛り上がるの自粛とか言い出しても徹底はおぼつきません。それをとんでもないという怒りの「民意」で撤回させて合意を取れば、そのような真似をする人たちは駄目な人たちだと世間が監視してしまうわけです。ふるさと出身の選手を応援するパブリックビューイング会場とかあちこちで発生することが予想されましたが、オフィシャルなパブリックビューイングを潰してしまったので、自治体、商店街、学校などはそういう観戦イベントは難しくなりました。
五輪会場での酒類提供はどういう経緯で通らなさそうな案を公開したのか不明です。私は、会場内の大会関係者向けのラウンジなどでの酒類提供を禁止させたかった、政府と東京都が一度ニュースにして炎上させてIOCも逆らえないような民意を作りたかったのではないかと推定しています。スポンサー企業自ら、酒類提供の権利放棄を宣言して契約違反とか問題を無くすにも一度民意に問うのがちょうどよかったのではないかなと。
そういう、怒りの感情を利用して、五輪前の7月のなるべく早い時期に4度目の緊急事態宣言を東京で発令するということも予想しています。
NHKクローズアップ現代+で新型コロナが日本で新しいフェーズに入りそうという予測が放送されました。
「変異ウイルス・感染拡大を防ぐには?▽ビッグデータで分析」6/23(水) 午後10:00-午後10:30 での放送でした。北海道大学 伊東公人 教授の予測データでは6月24日でも日本で2割近くがデルタ株に置き換わっていて、7月中旬にも主流になるとされています。日本でのデータなので東京都ではより早く交代は進んでいるのではとも考えられます。
新規陽性者は6月23日現在東京都の7日間平均で週次1.1倍拡大に転じています。これがより加速していくとみられるわけです。
五輪期間中に宣言するよりは、より早く7月5日月曜日から適用ぐらいのタイミングで打ち出して、五輪期間中の4連休や8月のお盆の旅行を止めさせないと拡大が止まらないのではないかと私は予想しています。
感染拡大への対策としては、首都圏とその外への人の移動を極力減らす、飲食店での会食を停止 という2つを目玉にすると予想しています。都道府県間の移動自粛と言っても、埼玉千葉神奈川から東京都へ何百万人規模の通勤通学移動がある首都圏でそれを止めるのは困難です。デルタ株の拡大を遅らせるためにも首都圏から首都圏外へ、そして首都圏外から首都圏へ、の移動を減らすのが重要と考えられます。また、より感染力が強まったデルタ株対策として、飲食店で会食しないように という対策も鍵となるでしょう。酒類がだめということをより強くして ランチでの普通の食事でも一人で黙々と食べて会話しない といった対策が改めて打ち出されると予想します。
2020年の7月8月も感染が拡大しました。暑くなって冷房が欠かせない時期に換気が悪くなって拡大ということを繰り返す要因がデルタ株でより大きくなったわけなので強い対策は五輪と関係なく必要と考察します。
東京五輪2020は大幅に規模縮小も、実施することに意義がある21世紀後半に向けた大会になる
4回目の緊急事態宣言を東京都がいつ出すのかは、政治的な思惑での駆け引きになるわけですが、小池都政の与党、都民ファーストの会が感染拡大防止を呼びかける都知事に呼応して五輪前の緊急事態宣言を訴えるというのがありそうなシナリオで。日経ビジネスでの小田嶋氏のエッセーで、小池都知事が五輪中止をクーデター的に起こして国政に とかがありましたが、ホストの都市としてそれは痛手が大きすぎて無理と読んでました。その逆で五輪の成功のためにとは言わないけど、早めに対策をとらないと危ないと、4度目の緊急事態宣言を出すと予告して都議選を戦い、五輪は成し遂げると予想しています。
そんな中で、五輪がどの程度できるのか?各国各競技の選手や関係者が予定に対してどの程度来日できるかは、予測不能です。そういう中でも、ロシアなど感染拡大が深刻な国や地域、そして国内へのデルタ株持ち込みを強く警戒する中国など、かなりの国と地域からの来日は断念や規模の大幅縮小が起きる、などの事態が考えられます。モスクワ五輪以来の異常事態ともいえますが、そもそも、パンデミック下での五輪は普通にはできないわけです。大スポンサーたるアメリカのテレビ局が満足できる、陸上競技や水泳、そしてバスケットボールなどをはじめとするアメリカでの人気競技が開催できればそれでもう合格点となるでしょう。パラリンピックは時期が遅くなるので予測は保留します。
SDGsが今は大きな課題となっていますが、2040年頃になると、今の文明や文化的な生活が維持できるか?ということがより深刻になると予想しています。地球温暖化や気候変動もさりながら、水や食料の不足やエネルギー危機で、オリンピック・パラリンピックだけでなく、様々な文明の営みをいつまで続けられるのか?という問題に直面するでしょう。そういった21世紀後半に向けた人類の危機を考える上で東京オリンピック・パラリンピック 2020に向けてチャレンジしもがいたことは大きな遺産となる、そう確信しています。