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飲食店の酒類2人以下ルールの合理性を沖縄の事例で考える

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「飲食店いじめ」「根拠なき」といった批判の多い東京都の飲食店での酒類提供規制。2人まで、提供は夜7時まで、滞在は90分以内など、の規制に合理性はあるのでしょうか?このような飲酒規制が続けられる背景を、5月の連休明けから感染が拡大した沖縄の事例から考えてみます。

高山医師が考えた、沖縄で感染拡大が繰り返される7つの理由

沖縄県立中部病院感染症内科の高山義浩医師は、日本有数の感染症の専門家です。日本および沖縄での新型コロナ感染対策の中心として、ダイアモンドプリンセス号の時点から現場と政策の両方に携わってこられおり、地域の感染症拡大を対策という点では日本で一番くわしい方だと認識しています。その高山先生が、Yahoo! 個人の記事で3月31日に なぜ、沖縄では新型コロナの流行が繰り返されるのか という記事を書かれています。

その高山先生の記事をもとに筆者の推測を補って説明します。

7つの理由は、1 人口密度の高さ、2 大勢の観光客が歓楽街に繰り出し地元民と交流する、3 若者人口が多い、4 独身男性中高年が多い、5世代間交流の活発さ、6冷房を使う期間が長い、7在沖縄米軍での流行、の以上です。

1の人口密度が高いと二次感染が多いという先行研究があり、過疎地であれば二次感染が広がりにくいのは直感的にもわかります。那覇市は人口密度では福岡市や名古屋市以上であり、感染の連鎖が止まりにくいことがわかります。

2の観光客が歓楽街に繰り出し地元民と交流するということを高山先生は、「移動人口の多さ」と見出しされています。しかし、内容的には、新型コロナを観光客が持ち込み、地元民が働き利用もする歓楽街で広がっていることを指摘されています。比類すると挙げられた札幌も同じゴールデンウィークに感染が拡大したのは観光客が持ち込み、歓楽街や宴会などで広がったことが考えられます。

3の若者人口が多いのは20代が感染者数で多いことにも関連します。リスクある行動を取る若者が多いのです。4の独身男性中高年が多いというのは比率的に全国最大であり夕食はスナックに行く、また女性は昼カラオケなどで集まるという行動様式につながると指摘されています。家に居ろと言われても困るというわけです。 5の世代間交流の活発さは、夜の街で働く若い女性が翌朝祖母と食事してたりという連鎖があることになり、新宿歌舞伎町とは違う点だと指摘されています。6のエアコンは締め切って換気が悪いことに繋がり6月から10月と長期間流行の余地が生まれることになります。そして、7の在沖縄米軍の流行は今は収まっているでしょうが何度か拡大に関係したとみられています。

5月の感染拡大の主因は歓楽街での観光客と地元民との交流

FireShot Capture 071 - 高山義浩 - Facebook - www.facebook.com.png
引用元:高山義浩先生による今夜9時過ぎの国際通りでの様子という5月3日の投稿

以上、沖縄で感染拡大が起きやすい7つの理由をもとに、この5月、ゴールデンウィーク以降に沖縄で感染が拡大した理由を推定します。5月3日の高山先生の警告投稿から写真を引用しましたが午後8時までという制限を超えて、沖縄那覇市の国際通りの店舗では夜9時でもかなりの賑わいがある様子が動画で撮影されています。

他のかたの写真や動画などから、ここは、お祭りの縁日のような賑わいがある横丁業態の国際通りのれん街の店舗だと推定しています。時短命令に従わなかったということでの措置命令が5月22日にでた14店舗中6店舗がこの、のれん街の住所の店舗でした。

横丁業態は東京だとミヤシタパークにできた渋谷横丁が代表的な施設です。客や店員との距離が近く隣とも触れ合うことで出会いが生まれ交流できるというのが売り物です。英国風パブやスポーツバーも似た状態だったわけですが、欧州での最初の感染拡大はスポーツバーが起点ともいわれています。多くのグループや単身客が一体となって、ひとつのパーティーのような賑やかしい空間ができるわけです。飛沫感染だけでなく、マイクロ飛沫感染(準飛沫感染)リスクの高い今のアルファ株においてこういう密な場所は特に避けるべきといえるでしょう。

旅行でも、飲酒や宴会有無はまちまちでリスクも様々

沖縄への渡航者が増えると感染者が2周間ほど遅れて増えるというデータがあります。渡航者が増えることが感染拡大と繋がっているのは確かなようですが、筆者はそこに中間パラメーターがあると考えます。

渡航した人がマスク無しでの会話をしない、を守れるんなら渡航者が増えても感染はそれほど増えないのではないでしょうか?観光地にはそれぞれの観光や飲食スタイルがあります。

個人的な体験をいうと、昔、沖縄に出張に行ったときはセミナーの打ち上げということで居酒屋で食べました。一方、群馬の四万温泉とか草津温泉に家族旅行に行ったときは家族でご飯を食べてお酒はお父さん一人だけという形態でした。温泉でも、社員旅行やオフサイトミーティングとかだと大宴会場や二次会での宴会を行ったりしました。

居酒屋とか夜の街にでかけたりが盛んな那覇や札幌の観光は高リスクといえるかもしれませんが、夜早く歓楽街が閉まるとなるとそこはホテルや旅館から出ないとか行動の様式が変わるでしょう。ゴルフの後に食事しないとか、社員旅行も宴会はなしとか対策をとった観光旅行は可能でしょう。

グループ2名で7時まで、90分以内、という東京都の飲食店での酒類提供規制の有効性

リスクが高いのは大勢で交流のある、換気が悪い場所での、飲酒会食・宴会だという知見からすると、グループ2名で夜7時に酒類提供終了、滞在時間90分以内という規制は妥当に見えます。もちろん、2名じゃなく1名の方がリスクが低いのでしょうが、高級レストランなどお一人様利用がほとんどない業態を考えると2名までは許さないと営業するなに等しくなってしますということで妥協が必要でしょう。

4名までという神奈川県の規制もわからなくはありませんが、感染リスクは人数が増えるほど指数関数的に上がります。リスクと便益の兼ね合いですが、4人まで飲酒会食OKにすると、商談とか接待とかも増えて対策としてはかなり弱くなるとみています。

もちろん、横丁業態とか英国風パブ、一部の立呑業態のように、他の客との距離が近くて自然と会話と交流が生まれるような営業形態は、禁止で他のグループとは会話禁止 という運用も必要になるでしょう。「ギュウギュウ詰めで会話が生まれて楽しい」という強みを使えないのは残念ですが、ワクチンが行き渡る時期はそれほど遠くはありません。それまでは、来店者の間は空けて同席した他グループとの会話は原則禁止 ということを続けていただくべきでしょう。

東京都の感染防止宣言ステッカーのダウンロードサイトの紹介

最後になりますが、東京都の感染防止徹底宣言ステッカーのダウンロードサイトは、東京都防災ホームページにあります。前のステッカーは画像データが出回って、コピーして貼っとこうというような話もありました。今回のサイトはチェック項目を確認した上で整理番号付きでダウンロードになっており、コロナ対策リーダーの登録も求められています。

緊急事態宣言宣言中は、ルールを守っって居酒屋から定食屋に営業内容を変えてでも続けるお店と、堂々と守らない宣言をしたり、こっそりと酒類提供を復活させた店など対応は分かれました。正直者が馬鹿を見る状態は非常に残念であり、大変ではあっても守ることが可能なルールになったのは確かです。

東京都は時差出勤で朝くから仕事を始めて、夕方早めに切り上げたら居酒屋で晩御飯を食べられます、ただし、なるべく一人か多くても二人にしてください とかの呼びかけもあって然るべきと考えます。飲酒を推奨というのもしにくいのでしょうがルールの中で、感染のメカニズムも知った上でワクチン2回で効果が出てくる日も近い状況で対策を続けたい、そう願っています。

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