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2014都知事選、田母神現象は、変化を望む有権者の意思の表れ

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2014年の都知事選、終わってみると、当初泡沫候補と見られた田母神候補の61万票、12.5%の得票率という躍進が目立つ結果となりました。特にに20代で田母神候補の得票率が高かったことから、若者が右傾化しているのか?とか、投票率も加味すれば、そうでもないといった議論が起きています。

私は、各市区町村での主要候補の得票の仕方から相関を取り、誰と誰が似ているかの分析から有権者の考えを占ってみることにしました。以下は、ExcelのCORREL関数を使って出した各候補の得票地域の似ている度合いです。一番似ているのは、家入候補と、田母神候補で次いで、細川候補、家入候補と順に並んでいます。

反原発統一候補とかいう話題があった、宇都宮候補、細川候補は多少似ている程度の得票の仕方です。

  相関係数
家入・ 田母神 0.766
細川 ・ 家入 0.609
宇都宮 ・ 細川 0.405
家入 ・ 宇都宮 0.049
田母神・舛添 -0.676
家入・舛添 -0.723
舛添・細川 -0.805

家入候補と、宇都宮候補は相関係数が低く、ほとんど得票に相関は無いと言えます。赤字のマイナスは反比例する関係にある候補です。グラフにするとこうなります。

Snap1622
田母神候補と舛添候補も反比例の関係にあり、保守系だから両方伸びるという状況では無いと言えます。散布図で見ると、相関が高いとはどうなるかがより分かりやすく見えます。

家入・田母神候補は、比例関係の線を引きたくなるような分布です。

Snap1623 一方相関がほとんど無い、家入・宇都宮候補の関係は、てんでばらばらです。

Snap1624

一方、反原発でも市民運動系の支持を集めた細川候補は家入候補と関連性のある得票分布になっています。

Snap1626 相関係数がそこそこ高いので比例しているのではありますが、右派的な指向の街と、左派的な指向の街のグループができています。家入候補が最も得票した渋谷区は右派的な指向(チャート上は青)の突端で中央区、新宿区、中野区、などが追い、遅れて足立区、福生市などが入ります。一方左派的な地域(チャート上は赤)は、港区に始まり、世田谷区、杉並区、文教区などが続き、下位には多摩地区の市が多く入ります。そのグループから外れたより左派的なエリアが武蔵野市で、菅直人元首相の地盤であることを伺えます。

さて、一番注目したのは、相関関係が最も高かった、家入候補、田母神候補の関係です。

Snap1625 他の候補の散布図と見比べて、改めて一番似通った得票をしたのがこの家入・田母神候補だと実感します。都市化が進んでいるほど、変革を求めるような先端的な人が多そうな街ほど両候補は多くの得票をしており、その左右に外れたところで、家入候補が比較的健闘した渋谷区、目黒区、港区、世田谷区、杉並区があり、一方で田母神候補は千代田区、台東区、江戸川区、足立区などで多く得票したことが分かります。

それぞれのぶれは左右の指向の差ではありますが、むしろ注目すべきは先端的な街で両候補が多くの支持を集めたことでしょう。

この相関から類推するに、田母神候補は現状を打破し新しく変えたいという都市部の期待に応えたから伸びたそう言えそうに思います。

全体としては、東京オリンピック誘致に成功した猪瀬路線を継承する、福祉と経済のバランス路線の舛添候補が勝った選挙なのですが、そういう現状追認に飽き足らない有権者のかなりが田母神候補に流れた、ことは認識すべき事実でしょう。

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