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うわっ…日本の公務員の年収、高すぎ…?低レベルな公務員給与叩きを斬る

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ネット上で流れる、日本の公務員の給料高すぎという話。例えばこういうコピペがTwitterでありました。果たして日本の公務員の年収は本当に高すぎなんでしょうか?そもそも、日本の公務員の年収は本当に900万円近くて、アメリカや西ヨーロッパ諸国はそんなに低いのでしょうか?

高すぎる日本の役所公僕年収を1/2に改めよ!
世界の公務員平均年収(2012/6)

1 日本 898万円
2 アメリカ 357万円
3 イギリス 256万円
4 カナダ 238万円
5 イタリア 217万円
6 フランス 198万円
7 ドイツ 194万円

実は、「公務員」の年収の国際比較データは簡単に見つかりません。比較するには基準を合わせねばなりませんが、それが難しいようです。そもそも、日本の公務員年収データとしても非常にこれは怪しいものです。このサイト http://nensyu-labo.com/2nd_koumu.htm  などで、データがありますが、国歌公務員では662万円です。ただ、これは「正規」の公務員であって、臨時などの定期雇用職員とあわせた年収ではありません。臨時職員の収入は200万円程度とかそれ以下ともいわれます。国際比較する場合、こういった職場内の「身分」格差や待遇が混じっていることも考慮して補正する必要があり、非常に難しいことが分かります。

そんな難しい、公務員給与の国際比較ですが、教師についての年収比較がOECD内にありました。以下は小学校教師の初任給、15年勤務時、ピーク時の年収比較です。
15年勤務で、日本は4万5千741米ドルであり、OECD諸国内でそうかけ離れていない水準であることが分かります。
もちろん、国それぞれで仕事量、勤務時間は様々で、膨大な事務処理などやることに追われて持ち帰り仕事も常態化しているといわれる日本の教師の仕事のありかた、給与水準は見直しが必要かもしれません。ただ、西ヨーロッパ諸国の4倍以上教師の年収が高いとかいうべらぼうなことは無いことがわかります。
http://www.oecd-ilibrary.org/education/teachers-salaries_teachsal-table-en

Teachers' salaries - Education: Key Tables from OECD - OECD iLibrary via kwout

叩きやすいものを叩くポピュリズムの心情に素直に乗りがちなネット世論。そこにある数字の出所や意味は何か、慎重に見極めることがよりいっそう求められえています。

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