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フジテレビ電波私物化批判を再炎上させる「皆様へ」文書の3つの問題

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フジテレビに対する最近の抗議の本質は、「韓国偏向」ではなく、電波の私物化です。従来も、自社の強みを持つコンテンツをブームにする、おニャン子クラブ押しとか、女子大生ブーム仕掛け、女子アナブームとかあって、それなりに視聴者も受け入れてきたのですが、今回の、偏向報道・電波私物化批判はその自社のプロモーションが露骨で、人気番組笑っていいともでのランキング操作とか、バラエティや情報番組で「プレイスメント(密かに置いて摺り込む)」とかをやっているその行為自体に反発を受けているものです。
「嫌なら見るな」という意見を複数のコメディアンが表明されてますが、「いつもの番組と思っていたのに、いきなり見たくないものを見せられた」という怒りと抗議を受けているということの本質をそらすものです。

そういう抗議への本質をそらした、一部も指摘に対する釈明が一ヶ月近く遅れて、金曜日の夜に出てきました。ただ、この文章には3つの問題があります。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1109/02/news108.html

フジテレビから「皆様へ」 編成方針などを説明する文書を公開 - ねとらぼ via kwout

問題1:一般のフジテレビサイト利用者には見せたくないという設計
この文章は、こちらフジテレビ という社会貢献活動などを説明する非常に地味なページに掲載されており、Webサイトトップに来訪した人に見せようというようなデザインには今のところなっていません。
プレスリリースして広めたい情報じゃないという扱いなのは分かりますが、「Web更新情報」とかいう新着の情報を網羅的に知らせるようなメニューに載っていませんし、トップだけ見て気づくというのはまずなさそうです。
お詫びではなく、説明なんでしょうがそれでも、出すからには伝えるという姿勢をとらないと、「一部のネット民だけあてで、"皆様へ" じゃ全然ないのはなぜ?」という不要な軋轢を生みます。

問題2:釈明なのに「正しい」という価値観を含む言葉を使い、批判者を「間違っている」と暗に批判していること

最近フジテレビに寄せられたご質問、ご意見について、正しい情報、状況をご理解いただくために、以下ご説明させていただきます。

という書き出しの注釈が非常に、ダメです。「正しい」という言葉には価値観を含み、批判者が間違っているという非難をこめた対応となっています。「外国人持ち株比率とかの釈明で間違った情報があるから正しい情報を載せたよ。」とかここだけだと分からなくはないのですが、法に違反していることを問題にしているのではなくて、経営方針が外国の意図に左右されているのじゃないかという懸念で批判しているわけなので、「事実を伝える」という価値観を伴わない説明に留めるべきだったと思います。

問題3:最大の批判点、サブリミナル的な、ブームづくり、電波の私物化批判に答えておらず、批判をより大きく長続きさせそうなこと

<編成方針および番組制作について> でそれに答えているつもりなのかもしれませんが、笑っていいともでのランキング操作疑惑、サザエさんでの異例のポスターとか、細かいところで、折々に自社押しコンテンツの宣伝を織り交ぜ電波を私物化している、というところにあります。

そこを争点にしたくないから、他を釈明したのかもしれませんが、批判の中心を避けて一部だけに答えたことで、不誠実という印象を与えました。私がこうしてブログにまとめて書こうという気になったのもフジテレビの姿勢に問題を感じ、より問題の本質を知って欲しいと思ったからです。

ではフジテレビはどうすべきだったか?
各番組でのサブリミナル的な宣伝があったという指摘に対して個々に調べてなぜそれがあったのか、問題と認識しているのか?今後はどうしていくのか、そんな見解を表明し、対策が必要と認識したのならその取組を発表すべきだったと思います。

ちょうど同系列の地方局の東海テレビで、「汚染された米」という事件を起こしたばかりです。サザエさんでのポスターが「ちょっとした遊び心」で載ったのか、そして、あれだけの人気番組の制作関係者がそれを認識していたのか?とかとか、個々に検証し、希少な公共の電波を預かる媒体社としての姿勢を示すべきだったでしょう。今からでも遅くないので、次の釈明での説明と対応策表明に期待しています。

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