ゲームデベロッパーに新たな収益源 ~ Zyngaが米国セブンイレブンとタイアップ・プロモーションを開始
ZyngaはFacebook上で最強のソーシャルゲーム・メーカーだ。
Facebook史上最大のヒット作「FarmVille」を持つZyngaは,いまやソーシャルゲーム・デベロッパー(以下,SAP:Social Application Provider と略)の中でも圧倒的な存在感を持っている。
下図は主要SAPの月次アクティブユーザー推移だが,Zyngaは常に延べ2.3億人以上のアクティブユーザーを持ち,他社を倍以上引き離して独走している。
またある関係筋によると2010年推定売上は540億円(関連記事)と予想されている。
そのため,プラットフォーマーであるFacebookと課金料率等を巡って仁義なき争い(関連記事)を繰り広げていたが,先週5月18日に電撃的な5年間にわたる業務提携(関連記事)を結び,Zyngaファンをホッとさせている。
そしてZyngaはここに来て,新たな収益源確保のため,製造業や小売業などリアルビジネスとの提携を開始しはじめた。
提携先は,一社が食品メーカーのGreen Giant,もう一社は小売大手の米国セブンイレブンだ。ともに大ヒット作「FarmVille」をフィーチャーしたタイアップ・プロモーションの形態をとっている。
■ 米国Green Giantとのタイアップ・キャンペーン
5月21日発表された(元記事)のが,食品メーカーGreen Giantの野菜を買うとFarmVilleのバーチャル通貨をプレゼントするキャンペーンだ。野菜にはFarmVilleシールが貼られており,野菜を購入すると得られるコードをネットで入力することでバーチャル通貨に換金できるというもの。こちらはすでに店頭で販売されているようだ。
【出所: Inside Facebook】
【出所: Inside Facebook】
■ 米国セブンイレブンとのタイアップ・キャンペーン
2日後の5月23日には,米国セブンイレブンとZyngaのタイアップ・キャンペーンが発表された。キャンペーン期間は6月1日から7月15日まで。やはりFarmVilleロゴが貼ってある商品を購入するとコードが付与され,ネットで特別なバーチャルグッズと交換できるというものだ。
セブンイレブン・ジャパンは過去に数度モバゲーとタイアップ・キャンペーン(タイアップ商品を購入するとアバターをプレゼント)を行っており,携帯ゲームのマネタイズで進む日本のビジネスモデルが米国に逆上陸したのかも知れない。
【セブンイレブン×モバゲー企画例】
・ ヤッターマン・キャンペーン (2008/6/3 - 2008/6/16)
・ コカコーラ・キャンペーン (2008/8/4 - 2008/8/31)
これまでもZyngaは商品と引き換えにバーチャル通貨やバーチャルグッズをプレゼントするプロモーションを行っていたが,リアルビジネスとのタイアップははじめての試みだ。
いまだ全世界に7500万人いるFarmVilleアクティブ・ユーザーファンにとっては,特別なグッズの入手は強いインセンティブになるだろう。またFacebookと縁遠い利用者へのアプローチとして,ZyngaはFacebookに頼らない告知手段を手にいれたことになる。
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