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プロダクトマネジメントとイノベーション

競合に手の内をさらけ出して勝つ!?

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オープンソースCRM「SugarCRM」のコミュニティにいると、手の内を完全にさらけ出す開発手法がたいへん心地よく感じます。一切のストレスを感じないので、果たしてこれはちゃんと仕事としてマーケティングしていることになるのか?と変に反省したり・・・。

私は現在は日本におりますが、実は一日の大半をSugarCRMの英語コミュニティで過ごしています。「過ごす」というのはボーっとしているわけではなく、世界中のSugarCRMユーザをサポートしたり、新規コードを寄贈したり、バグ報告をしたりしてるわけです。24時間動いているコミュニティなので、たまに朝7時ごろから夜中の1時ごろまで入り浸ることがあります。

中でも面白いのは、年に数回、次期バージョンの仕様を皆でよってたかって議論するフェーズ。この議論は公開で行われ、決定した仕様も正式に発表されます。もちろん、実装方法も、実現時期もすべて明らかになります。

SugarCRMは企業向けの上位エディションを有償でライセンス販売していますから、れっきとしたソフトウェアベンダです。競合に勝たねばなりません。そんな立場にいるのに、手の内をすべてさらけ出してしまって良いのか? よくこのような質問を受けますが、公開で議論をするメリットが競合に追いつかれるデメリットをはるかに凌いでいるように感じつつあります。

「手の内」は五輪書に解説あり。

SugarCRMのような、デュアルライセンスのオープンソース(コマーシャルオープンソース)にとって、最大の資産はコミュニティの叡智であり、これを知的財産に変換することが我々トップポスターの役割なのでしょう。それが、新しい時代のプロダクトマネジメントであり、また、同時に、マーケティングでもあります。

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