WBC元監督の栗山氏がメジャーリーガーの菊池選手に勧めた「GRIT」が気になって読んでみました。(下記動画を参照)
「野球はいきなり上手くなる」 菊池雄星が語る人生を変えた本
本書はペンシルバニア大学心理学教授のアンジェラ・ダックワースさんが2016年に刊行したものです。GRITはGuts, Resilience, initiative, Tenacityの略だそうで日本語訳ではまとめて「やり抜く力」と訳されています。
スポーツであれ仕事であれ最後までやり抜く人に共通する素養は何かということを研究したものです。私はこの本を読む前はGRITって日本で言う根性論のようなものかなと予想していましたが少し違いました。
ダックワース氏はその素養として興味、練習、目的、希望の4つを持つ人と述べています。素質とかIQは関係ないとか。「自分はこうなりたい」という興味を持ち、そのために努力をし、常に目的意識を持つことが重要で、さらにひたすら前に進んでいくための希望を絶やさないということです。
上記の動画の中で菊池選手は、何かのきっかけを掴みたいという興味と目的を持てばすさまじい量の練習をこなせるし、練習しない人よりはそのきっかけを掴む確率が高いはずだと言っています。
いわゆる日本の根性論とGRITが異なるのは、GRITでは目的意識をしっかり持つこと、そのためにやり方をすぐ変えても良いことなど根性と成果の因果関係をより明確にした手法であることです。
以前、私が自身の成功体験をもとに記した「昼行燈(ひるあんどん)のすすめ」というブログで人は夢(興味と目的)を持つと凄まじいパワーを発揮するので夢を持つまで焦るなということを書きましたが、そのような境地を具体的に分析したものと感じました。
そして個人的には私は「希望」という要素も非常に重要でその希望を与えてくれる存在として両親や指導者など周りの理解や支えが必要なんだろうなと思いました。このあたりも「夢を持つ奇跡」というブログで触れました。
読書家の菊池選手の理解力もさすがですが、当時は敵チームながら菊池選手にいろんな本を勧めていたという栗山氏も菊池選手にとっては「希望」であったことでしょう。
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内田 隆平
2025/02/16 08:35:10