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XBRLで適時開示の促進を目指す米SEC

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 XBRLの国際大会が開催されているフィラデルフィアに来ています。今回で第14回になる国際大会。目玉は、米SEC(US Securities and Exchange Commision)のChairmanであるChirstopher Cox氏のキーノートスピーチです。

 XBRLは、米国で始まったのですが、実は日本など米国外での適用事例が先行して、米SECなどは進展が遅いとされていましたが、今回XBRL国際大会に初めて米SECのChairmanが参加しXBRLを語ったのです。

 米SECでは、今回の国際大会に先立ち、Intaractive Dataを推進するとして、XBRLをベースとしたシステム開発に$54M(約65億円)を投じることと、XBRLをつかった企業情報開示のPreview Releaseのサイトを発表しています。

U.S. Securities and Exchange Commission Chairman Christopher Cox announced today that the SEC has awarded three separate contracts totaling $54 million to transform the agency’s 1980s-vintage public company disclosure system from a form-based electronic filing cabinet to a dynamic real-time search tool with interactive capabilities.

-上記リンク先より引用

Secxbrlpreviewfull_1

 いよいよ米SECが、XBRLに本腰を入れて動き始めたわけで、このPreview Releaseには、ぞくぞくと米国の有名企業がXBRLでデータを提出しています(画面ショットは、Adobe社の財務データ画面)。

 カンファレンスの冒頭では、XBRL InternationalのChairman(今回の大会を最後に退任)であるKurt Ramin氏が、世界地図を画面いっぱいに表示しながら、XBRLの推進団体がある国が12ヶ国、準推進団体がある国が7ヶ国、推進団体を計画中の国が24ヶ国あるとして、XBRLの広がりをアピールしていましたが、米SECの取り組みは、こういった数以上に大きな影響があるでしょう。

 Ramin氏に続いて、米国労働省(US Department of Labor)のCFOである、Samuel Mok氏が米国の省庁同士のデータ連携が全くできてなくてかなわんと嘆きと笑いを交えながらXBRLへの期待を語っていました。それにしても、米国は高級官僚でも本当にジョークを巧みに使います。「いやー、今日のスピーチ原稿をカミさんに見せたら、いつもと同じこと言われちゃって。・・・『ゴミ、どかしなさいよ!』って」と言って聴衆をひきつける、労働省のシステムがブラックボックスで何が出てくるか予想できないことを日本のパチンコに例えて笑いをとる、などなど(笑)。Mok氏は、Public SectorでXBRLが普及するためには「LOVE」が必要だと締めくくりました。「LOVE」とは、「Leadership」、「Ownershio」、「Value」そして「Efficiency」のことです。ちなみに、フィラデルフィアは「LOVE」の街として知られています。ニクい!でも、カミさんのアイディアだったりして(笑)。

 さて、大会では、日本勢によって日本の取り組みもいくつも紹介されました。金融庁の小林さんによるEDINETでの取り組み、日銀の和田さんによる市中銀行からのレポーティングへの取り組み、富士通の後藤さんによるXBRLレンダリングへの取り組み、日立システムの三分一さんによるXBRL GLの事例など。中でも、私の目を引いたのはジャストシステムのxfyへの力の入れようと、買収したXMetalとのチームワークだったわけですが、これはこれだけで一本エントリが書けそうなので、帰国してからまた書くことにします。

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