日経本紙のポッドキャスト開始は日本の朝の風景を変えるか?
今日から日経本紙のポッドキャスト「聴く日経」が開始となりました。これは、日経本紙朝刊そのものが当日の朝6時から無料で配信され、通勤に携帯して聴くことができるというものです。通勤電車の光景でもわかるように、日経は「ジャパニーズ・ビジネスマン」の必読コンテンツとなっていて、私としては日本でのポッドキャストのキラーコンテンツの一つとして心待ちにしていたものです。しかし、実際には紙媒体との利害調整などが必要なので、開始にはもう少し時間がかかるのではないかと読んでいて、今回の開始は「意外と早い!」という印象です。
配信初日の今日は、<1面>の配信では、「KDDIと東電の光通信事業の統合」、「自衛隊のイラク撤収の可能性」「ダイヤモンドシティをイオンが子会社化」の3本。1面のニュース記事4本のうち3本。ただし、<政治>の配信で、残りの1本「小沢氏の民主党代表への意欲」もカバーされているので記事としてのカバー率は100%。<企業>の配信では、9面(企業1)から2本、11面(企業2)から3本など。
配信スタイルは、聴きやすさへの配慮のためか、「ですます調」にアレンジされており、カバー内容は、いずれも要約で全文ではありません。要約の仕方は、大きな記事はリード文そのものをアレンジし、そうでない記事は最初の2、3段落の要約で記事の概要はわかるようになっていますが、例えばIBMの乗り換え促進などは聴いただけでは意味不明で、本紙を見たらようやくNotes/DominoのMicrosoft Exchangeからの乗り換えキャンペーンのことだとわかりました(笑)。
さて、問題はこのサービスのビジネスモデルです。もし、この無料ポッドキャストを受ければ日経が全部読めてしまうのであれば、日経本紙を買う必要がなくなり、また当然ながら広告出向にも大きな影響が出て、本紙収入に打撃をもたらします。割とお堅い新聞業界のこと、今回の配信開始にも社内的にはいろいろな利害の対立があったことは想像に難くありません。しかしながら、国内では日経以外の新聞は部数が減っているし、米国では新聞の発行部数の現象が過去最悪を記録するなか、新聞業界全体でビジネスモデルの変革は必須。
今回は、無料で聴くことができるカラクリとしてCMが入っていて、初日のスポンサーは、日本IBM、新生銀行、英会話のgaba、日本経済新聞の4社。今後、さらにコンテンツの拡充が図られると思いますが、スポンサーをつけて継続拡張していくのか、それとも有償化へと進むのか興味のあるところです。
さらに次のステップとしての本命は、テキストでの本紙コンテンツ提供でしょう。これは音声以上に、本紙ビジネスとのカニバリゼーションが大きな経営判断ポイントとなることは間違いなく、今回のポッドキャストによる配信の利用動向やスポンサー動向などは、これからの判断材料として重要な役割を果たすものと考えています。
というわけで、いよいよ口火を切った日経本紙のポッドキャスト、まだ本紙を買わなくても良いというほどのカバー内容ではないですが、これからの日経のビジネスモデルを問う上では大きな試金石に違いありません。