オルタナティブ・ブログ > 学びの体験を創造する ~ セミナー事務局考 >

簡単そうで意外と細かい手順と心配りが必要な「事務局」。ビジネスセミナー、周年パーティ、小規模勉強会からPTAイベントまで、事務局の現場から、企画からスムーズな運営、場づくりの失敗と成功を紹介します。

アジャイル開発って、時々聞くけど

»

数年前から開発周りでよく耳にする「アジャイル開発手法」「アジャイルソフトウエア開発」ですが、2012年に入り、大手企業が次々に導入に力を入れていくと発表しています。


そこで、GreenHopperをはじめとしたアジャイルソフトウエア開発を支援するツールを扱うゴートゥーグループ(G2G)に、ビジネスパーソンの基礎知識として改めてアジャイルとは何か、導入のメリットはどういう点なのか、について聞いてみました。


opnlab:そもそもアジャイルソフトウエア開発とは何でしょう?


G2G:アジャイルソフトウエア開発とは、必要最低限のことをシンプルにムダなく実施して高品質なソフトウェアを開発することです。


2001年2月にアジャイルソフトウエア開発の分野で著名な17名の開発方法論者が集まり、彼らが提唱する個々の方法論の重要な部分を「アジャイルソフトウェア開発宣言」としてまとめ、アジャイルソフトウエア開発の価値と原則を定義しました。アジャイル開発の価値は以下のように定義されています。


・プロセスやツールよりも個人や相互作用

・分かりやすいドキュメントよりも動くソフトウェア

・契約上の駆け引きよりも顧客とのコラボレーション

・計画を硬直的に守るよりも変化に対応する


opnlab:ビジネスへの貢献に重点をおいたソフトウェア開発が、アジャイル開発の一つの必要条件ということですね。


アジャイル開発を導入するとビジネスにどのようなインパクトがありますか?


G2G:ビジネスのスピードにあわせて、ゴールを達成するために必要な機能を提供できる基盤が作成できます。


ビジネス環境は絶えず変化しています。先が予測できないような状況であっても、アジャイル開発を用いた変化に柔軟で短納期で改修が可能なシステムであれば、環境変化に適合できるシステムライフサイクルを実現できます。


契約と人材が導入の鍵


opnlab:システム開発の現場では、アジャイル開発についてかなり前から話題になっていたように思いますが、取り組んでいるところはがっちり、そうでないところは全くそうではないというイメージがあります。なぜだと思いますか?


G2G:開発手法として、アジャイル開発手法と対を成すウォーターフォールモデル(*@IT 情報マネジメント用語辞典の解説)が様々な問題点を含んでいながら未だに使用されている要因のひとつに、日本の契約形態の問題があります。


opnlab:契約形態ですか。


G2G:はい。ウォータフォールモデルであれば要求定義が承認されたあとに要件が膨らむことはないので、その時点での工数見積に従って一括請負契約を結ぶことが可能です。


opnlab:最初に全てを決めて、金額も確定させてしまうので、契約後は粛々と開発を進めるのがウォータフォールモデルなのですね。


G2G:しかし、スコープの変化をある程度許容するアジャイル開発手法では、見積もった工数が膨らんだ場合の負担に関しての調整など、それまでの契約形態とは異なる方策が必要になることが多くなります。


opnlab:契約形態以外に障壁となっていたものはありますか?


G2G:「人」です。

開発に参加するメンバーにも今までとは異なる考え方が求められます。ウォーターフォールモデルでは工程ごとに担当レベルが決められており、プロジェクト参加者が担う役割は固定的で、自分の役割のみを実施すれば問題ない構造でした。


アジャイル開発手法では短期間にユーザーの要望に応えたソフトウェアを提供することが目的であるため、役割ごとに担当者が分かれてしまうことによって起こる、情報の伝達のための文書化などの負荷や、その過程で生じる情報のロスを避けなければいけません。


opnlab:情報ロスを避けるためには、何が必要ですか?


G2G:1人がなるべくたくさんの役割を担うことが求められます。


すなわち、アジャイル開発手法の効果を高めるには、1人で何役もこなせる開発者の比率を高めることが重要です。けれども、優秀な人材を集めることはいずれの組織でも現実には難しい面があり、アジャイル開発手法の導入に対する障害になることが多く、このことが開発現場への導入に差を生じている理由であると考えられます。


opnlab:ひとつの分野に特化した開発者よりも、柔軟に多様な仕事をこなせる人材が開発現場で必要になっているということですね。


限定的な日本の導入状況


opnlab:日本ではどのような業界がアジャイル開発手法を積極的に取り入れていますか


G2G:NTTデータや日本IBMなど大手IT企業が、アジャイル開発手法をシステム開発に適用するための取り組みを強化中です。


ただ実際に日本で同手法を積極的に活用しているのは、グリーをはじめとしたゲーム分野やWebサービスを提供している会社、組み込み系などまだまだ特定分野です。


IBMの発表によると米国では1つ以上のアジャイル手法を適用しているソフトウェア開発企業は2009年時点で約70%にのぼります。また、国防総省やNASA等においてもその適用を推進し多くのシステム開発に適用しています。


opnlab:日本ではサービスや製品の生産サイクルが早い会社から、前向きに取り組んでいるという感じですね。


ゴートゥーグループが主催する10月18日のアジャイルのセミナーでは、グリーをはじめとした、実際の開発現場のお話も聞けるとのこと。楽しみにしています。


(opnlab 小林)


【無料セミナーのご案内】

Agile Night Seminar- 魅力的なソフトウェアを開発し続けるには?

 日時:10月18日(木)19:00-21:00

 会場:グリー(六本木)

 主催:ゴートゥーグループ

Comment(0)