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アット東京(@Tokyo)を東京電力が売却

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ついにと言うか、やっと東京電力の優良資産のひとつであるデータセンター事業を営む子会社:株式会社アット東京について、売却が具体化したとのニュースが配信されています。

EXTRA31では、本年4月から東京電力のアット東京売却の動きを追っていたので、本当に『やっと』という感想です。

同社が営むデータセンター事業は、償却期間の長い設備産業の上で陳腐化の激しいIT事業を行うという独特の難しさのある業態です。このため、同社の売却に際しては様々な要素を俯瞰的に捉え、売却先および関係各所との交渉、調整を行うことが重要と考えます。
また、同社データセンター内には、東証が2010年1月に超高速売買システム「アローヘッド」をはじめ、公共性の高い重要なシステムが多数設置されており、またIBMや外資金融機関等が顧客に名を連ね、ITホールディングの資本も入っている等権利関係が非常に複雑であり、非常に調整が難しい会社であると言えます。

読売新聞によると、入札手続きを開始、KDDIや楽天、富士通、日立製作所、NECなどが買収に前向き、とのことですが、データセンター事業者の中でも特殊な形態を持つアット東京について、少し整理してみます。

株式会社アット東京 概要
会社名 株式会社アット東京(@Tokyo)
本社所在地    東京都中央区八重洲2-7-2 八重洲三井ビルディング3F TEL:03-6372-3000(代表)
会社設立日     2000年6月26日
代表者 代表取締役社長 清水 俊彦(しみず としひこ)
資本金 133億7850万円
事業内容 情報通信システムを一括して集中管理するデータセンター事業
出資企業    東京電力株式会社、株式会社インテック、株式会社テプコシステムズ
営業開始日     2000年9月

同社の資産価値について (弊社分析)

アット東京は、売上250億円に対し、経常利益50億円。
比較対象として、株式会社ビットアイル(JASDAQ 3811)は、売上97億円に対し経常利益10億円強。
ビットアイル(時価総額210億円)に対して約5倍の額である1000億円が指標のひとつと考えられます。
但し、上場企業と未上場企業との比較であり、またアット東京は他の事業者へのデータセンターサービスの卸事業を行っている点、その他将来価値や将来的負債(保有設備の償却残、リース残および保守費用、長期間契約等)をどのようにみるかによって評価額は大きく変わる可能性があります。

また、2010年5月中旬に同社幹部と非公式に面談した際のメモは以下。

まだ政府や東電から、アット東京を売るというハナシはでていない。
インテックの持株比率 16%  東京電力の最優良子会社。
数年前と比較し、顧客数、売上、利益が伸びており、当時のEXTRA31の見立ての企業価値4~500億よりも価値がある。 2倍程度と思うとのこと。
顧客は国内大手ITベンダー以外に外資系金融や米国大手IT企業等がある。従いデータセンターのホールセールのみの事業形態ではない。
但し、他のデータセンター事業者のようにクラウド等の付加価値サービスは行っていないし、今後行う意思もない。
東電の資産を賃借しているという事業構造上、東電が全株を手放すことは難しいと思う。

また、アット東京の主力データセンターは、東京電力新豊洲変電所の建物を賃借しており、Google Mapの航空写真で見るとその巨大さに驚かされます。

アット東京の巨大データセンター

場所貸しに徹していたアット東京から、データセンター区画を賃借してデータセンター事業やクラウド事業を行なっているIT企業も少なくないと思われ、売却先が国内IT企業となった場合には現在の大規模顧客の大量流出等も考えられ、また資本関係が無くなった東京電力からは設備や電力料金の値上げの要求も考えられる等、非常に難しい売却交渉となりそうです。

(追記)
本件に関して、以下追加の記事をアップしました。

その2 アット東京(@Tokyo)を東京電力が売却(2)
その3 アット東京(@Tokyo)を東京電力が売却(3)

EXTRA31株式会社 & EXTRA31 Limited (Hong Kong)
代表取締役 成迫 剛志

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