「あきっぽい」と表裏一体の「好奇心」
前回のブログに引き続き本のご紹介です。今回は、
窪田良先生の「極めるひとほどあきっぽい」です。
眼×(学者+医者+ベンチャー社長)という因数分解について書かれている本です。
『46年の人生の中で、研究者、眼科医、起業家――とキャリアを変えていく人間はそういないだろう』とおっしゃっています。とはいっても、きっと著者の中ではごく自然な流れだったのではと推測できます。
5章から構成されますので、各章のタイトルを以下に記載します。
第1章 成長は、ある日突然やってくる(10歳)
第2章 正しい解き方より正しい疑問(21歳)
第3章 苦手なことは他流試合で突き破る(30歳)
第4章 庭先に穴を掘っても石油は出ない(36歳)
第5章 「想定外」こそおもしろい(47歳)
魚の釣り方は「思考のプロセス」
著者の窪田良先生の「眼」を軸とした幼少期からの半生が綴られている本です。私自身が常に興味の対象としているのは「思考のプロセス」です。そのプロセスが明らかになれば、釣った魚ではなく、魚の釣り方を教わることになり、明日からすぐにでも役立つことがあります。そんな思考のプロセスが幼少期の出来事から今日に至るまで多く散りばめられていることが読者にとって大変ありがたいことです。特に小学生時代のエピソードに惹かれます。正直、うらやましいです。また、実際の研究の回想シーンは分野の違いこそあれ、やっていることは基本的に泥臭い地道な作業の積み重ねであることも伺えます。
キャリアを変えるのは、積極的?消極的?
窪田先生が進んでキャリアを変えられているのに対し、有無を言わさずキャリアを変えざるを得ない境遇にいらっしゃる方も多いと思います。ポスドクも同様です。窪田先生ほど、劇的で大きな変化ではないにしても、任期付のポストについてしまっている以上、次の道(ポスト)を探さねばならないのは必然です。更にプロスポーツ選手も現役を終えると第二の人生が待っています。もしかしたら、いや、もしかしなくても、今までの自分の中の軸が全く通用しない世界に足を踏み入れている方も多いのではと推察します。そういう意味では、人生をよりたくましく生きるためのヒントが多く語られている本だと思います。
「良い本」とは?
私にとって「良い本」というのは、自分自身に多くの気づきを与えてくれる本です。気づきというのは、新しい知識に限らず、「自分自身ならこう考える」というように新しい着想なり想像なり、想いを張り巡らせてくれる本です。なので、読んでいる最中に色々と思いついたことをメモしたくなるのです。本の中でのそんな箇所のあるページの角を折っていくのですが、いままでにこれほど折り目のついてしまった本はないと思えるほどでした(写真参照)。また、多くの共通点も見つけられました。
若さを保つ秘訣は好奇心
新しい分野に首を突っ込むと新鮮な眼で物事を見ることができます。1から学ぶことが必ず存在します。その分野で最初のうちは「ひよっこ」になることができます。つまり、自分が一番下という状況、つまり、若い、青い状態でいられるのです。「眼」を軸としてキャリアを積まれてきた窪田先生が最も大事にされているのはもしかしたら、この「新鮮な眼で見られる」という「眼」、好奇心という名の「眼」ではないでしょうか? 全く関係のなさそうなもの2つが結びついたとき、それに伴って好奇心が一層爆発する(した)と常々思っております。
折り目がいっぱいついて分厚くなりました(笑)。