私って滑舌が悪いの? 失敗知らずの滑舌対策3か条
「ほんでぃつやごへえ・・ごへえとう・・・ん?・・・ごせいとう・・あ・・?」
これは、「本日はご清聴ありがとうございました」講演などの最後に言う言葉です。
大事な締めの言葉が言えなくなって、3回も言い直している場面を見て、本当に気の毒だなあと思いました。
その方は、プレゼンの途中でも、簡単な言葉で何度もつっかえておられていました。
「東京特許許可局」など、ちょっと言いにくいものでしたら、気をつけていないと噛んでしまうこともありますが、普段スラスラと言えているものまで言えなくなると、「あれ?私おかしくなっちゃったのかしら?」と焦ってしまい、「またしゃべれなくなるのでは?」とつい不安になってしまうものです。そうなると悪循環に陥ってしまい、さらにつっかえてしまうという繰り返しになりがです。
「今日は滑舌の調子が悪いのかな?」
そう思ってしまいます。
滑舌に調子が良いことも悪いこともありません。
緊張もあるのでしょうけれども、じつは、言葉が言えなくなっている場合のほとんどは、滑舌のせいではありません。
ほんの少し話すスピードが速いだけです。
人は、緊張したりあがったりすると、何でもスピードが速くなります。
緊張しているときは、特に意識しなくても自然にスピードが上がって早口になっていますから、普段言えている言葉でも口が回らなくなって言えなくなるのは当然です。
よく、本番前に「普段通り」と思って出ると失敗します。
普段とは心と身体の状態が違うのですから、普段通りになるわけもありません。そのことが分からずに「普段通り」に話してしまうから、話せなくなるのです。
周防正行監督の代表作「シャル・ウィ・ダンス?」で、主人公演じる役所広司さんがダンスコンクールの本番で踊る時、先生役の草刈民代さんが「落ち着いて。落ち着いて。」と祈るように言っていました。
本番はまさにこれしかありません。
「普段通り」に動かしては身体が速くなってしまいますから、筋肉が追いつかなくてミスしてしまうのです。
緊張するということは、悪いことばかりではなく、神経が研ぎすまされ、身体が危機に対して迅速に対応する準備が出来ている証拠です。
だから、いつもより「落ち着いて」臨むようにすれば、自ずと結果はいつもより良くなります。
しゃべりも同じです。
いつもより、少しゆっくり話すようにすれば、滑舌の問題はほとんど解決します。
基本はいつもより落ち着いて、ゆっくり話すようにする。
もともと速くなっているので、これでちょうど良い速さになり、聞いている人も聞きやすくなります。
もし、もっと素晴らしくしたいのなら、コツが三つあります。
(1)息を吸う
息が足りないと、子音を言うとき舌で口の中をこすったり、はじいたりすることがしにくくなります。しっかり呼吸して息をたくさん使いましょう。
(2)言葉を区切る
どんなに難しい言葉でも、少し区切って言うと、確実に言えるようになります。
ちょっと危ないなあと思ったらば、人に分からない程度に少し区切ってアクセントをつけると安定感が増します。
例えば、冒頭の文章だと、息をしっかり吸って、ゆっくり話しながら「本日は(間)ご(微妙な間)静聴(間)ありがとう(間)ございました」というようにします。
「松下幸之助」を言えなくなっている人もいて、これは大変恥ずかしいので、人の名前でもゆっくりと区切って言うことです。
区切ることでブレーキが効いて、早口防止にもなります。
(3)舌筋を鍛える
舌筋を鍛えると確かに速く回るようになります。
ただし、あまり速く話し過ぎても、聞いている人たちが話しの内容についていけませんし、早口は拍車がかかって自分も苦しくなるので気をつけてください。
舌筋のトレーニング
1、口を閉じます。トレーニングの最後まで口は閉じています
2、舌を下唇と下歯茎の間にさし込みます
3、舌の先に力を入れて、右端から左端にゆっくり移動します
もしメトロノームがあれば目盛60で5拍かけて移動します
4、左端までいったら、そのまま力をゆるめずに右端に戻ります
5、以上を3往復みっちり行います
6、3往復終わったら、今度はそのまま上唇と上歯茎の間に移動
7、同じように3往復行います
結構キツいです。
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