甲高い声の話し方 そのほとんどが自己満足 声から顧客中心主義を考える「低音開発方法」
せっかく落ち着いたよく響く低い声にボイストレーニングをしても、いざ講演やプレゼンでスピーチをなさるとき、元の甲高い声に戻ってしまい、まくしたててしまう方がよくいらっしゃいます。
受講生の方でもそういう方がいらっしゃるのでおたずねしてみると、
「ついテンションが上がってしまって・・・」
「勢いつけて高い声で早口でしゃべらないと調子が乗らなくて」
「パッションをぶつけようと思うとどうしても甲高い声になってしまう」
情熱を持っていることは良いことです。
しかし、聞いている方は、情熱のすべてをぶつけられても、辟易とするか疲れてしまうでしょう。
そして、こういうプレゼンのときほど、話し手の方は話し終わった後、達成感のある表情をされています。
「調子がのらないとはなぜなのか?」
と、よく考えてみると、それは自分のために話しているのです。
子供が甲高い声で泣き叫んでいるのは、自分のことだけを考えているのであって、相手がどんな思いで聞いているのかまで想像力が働いていません。
もちろん、「ここはどうしても甲高い声を使いたい」と思う、「ここぞ」というところで甲高い声を使うのは良いと思います。また、安売りセールや家電量販店のようなところで目立ちたいというときは、甲高い声が必要な場面もあるかと思います。しかし、スピーチで全体が甲高い声のトーンで通すと、かえって一本調子になってしまい、印象が薄くなってしまいます。
本来は、低い声でも緊張感を持って強い気持ちを込めることができるはずなのです。
そして、聞いている方も、落ち着いた低い声で話してもらったほうが、聞きやすいのです。
強いことを言いたいときは常に声が甲高く大きくなるのでは、自己満足にすぎません。
「私はお客さんのことを一番に考えています」と言うとき、相手の立場を思いやって気持ちをこめて話せば、おのずと声は低く信頼感のあるものをチョイスせざるえなくなります。
私は、レッスンを受けるときよく「お客さんに奉仕しなさい」と言われました。
自分が人前にたって表現する立場ではあるのですが、お客さんに奉仕することを考えると、表現方法は違ってきます。そういうとき、後でお客さんから「感謝します」と言われたことがあります。そのときは、本当に有り難いなあと思いました。
「見事なプレゼンだ!」「凄いなあ!」ではなく「感謝します」。
いつもそういう言葉をお客さんからいただけるようになったら、本当にすばらしいことですね。
イギリスで初めての女性首相となったサッチャーは、首相になる前、感情的になって甲高い声で話していたのを、ボイストレーニングで低い響く声に変えました。低い声によって国民からの信頼を得て、首相の座にまでのぼりつめるのです。
「私はもともと声が甲高いので」という方がいらっしゃいます。
「ご自分なりの落ち着いた低い声」を使うだけでも、相手に与える印象は劇的にかわります。
どんな方でも低く落ち着いた声を持っています。
ご自分の声の下限を知り、開発していくことが大事です。
本日は低い声の能力を開発し、低くて響く声を手に入れるためのトレーニング方法をご紹介しましょう。
☆☆低音トレーニング☆☆
1、肋骨下すぐあたりのお腹に指をのばした状態の手をあてる
2、ゆっくり大きく息を吸う。吸ったとき、お腹がパンと張るのを手で感じる
3、いつも出すより少し高い声で「はあ!」と発声する
4、そのまま切らずに「はあぁぁぁぁぁぁぁ〜」と音程をずり下げる
★ヒント:ドシラソファ・・・のように音を区切るのではなく、あくびをしたとき「ふわあ〜」と音を下げるイメージ。これは専門的には「ポルタメント」と言います。
4、ご自分なりの低い声に達したら「あ〜〜〜〜」とのばす。お腹は張っている状態を維持。手は張っているお腹を押し返すように張返しする。これで手がお腹の横隔膜をサポートする形になる。
5、これを5回繰り返す
★ヒント:ポルタメントで音を下げて横隔膜を使うと、いつもより低音が開発され、さらに低くても響く声が出るようになります。より低い声を出そうとしながら繰り返すことで、さらに低い声が出るようになっていきます。
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