倹約家・仕事の流儀 ベートーヴェンはケチだった?!
景気は良くなるのかどうか、私には判断できませんが、いつ何が起こってもおかしくない、油断がならないご時勢です。
そこで、節約術や貯蓄運用、また余分なものは買わない、などのハウツーが流行するのも当然の成り行きといえます。
「宵越しの金は持たねェ」くらいの豪快な方が多い作曲家。
知人の作曲家でも、良く聞くとあまり貯蓄には興味のない人が多いですね。破滅型とも言われる有名な人もいます。
そんな作曲家の中で、女性に対する理想が高く婚活に失敗し、一生独身でも、ベートーヴェンは、しっかり者の倹約家でした。相当な「ケチ」だったとも言われています。
お手伝いさんのお金の使い方も細かく(うるさく)チェックし、気にいらなければすぐにクビにしていたそうです。どのスポンサーが一番支払いがよいか計算して選んだり、作曲料の支払に対して、財政破綻した貴族に厳しく取り立てるための訴訟を起こしています。
そして、貯めに貯め、亡くなったときは1億円相当のお金を残していたとか。
アルコール中毒の父親で、貧乏のどん底を味わい、10代の頃からオーケストラでアルバイトをして兄弟の面倒をみてきた苦労の経験がベートーヴェンをしっかり者にしたのではないかと想像します。
その倹約家ぶりは、性格だけでなく、その音楽にも表れています。
ベートーヴェンのライフワークともいえるピアノソナタ。
一生かけて、32曲のソナタを作曲しました。
一つ一つの完成度が高く、常に全力投球。
このソナタを1から32まで追っていくと、ベートーヴェンがどのような哲学を持って、そして成長していったかと、いうのが一目瞭然です。
このソナタ。
例えば有名な第8番「悲愴」ソナタを見てみても、その前に作った7番のソナタを見ると、どうして8番が生まれたかよく分かります。
8番には、7番で使ったモティーフがいたるところに「再利用」されており、さらに研ぎ澄まされ、結晶化され、斬新なアイデアにあふれている。ただぼんやり聴いていただけでは、まさか前使ったものを再利用しているなんて思いもつきません。
それは、他のソナタも全てそうで、必ず前使った素材を捨てずに利用しながら、前を乗り越えている。32のピアノソナタは一貫して、自分を乗り越えるというベートーヴェンの人生観そのものを感じさせる巨大な連作形式になっているのです。
前使ったモティーフを捨てずに「再利用」し、使いまわす。
これが「ベートーヴェン・仕事の流儀」です。
ピアノ・ソナタで使ったモティーフはオーケストラでもよく利用されます。例えば、ピアノ・ソナタ「熱情」作品58で使用したモティーフは、その後の交響曲「運命」作品68にもみられます。
まさに、ベートーヴェンの性格がそのまま仕事にも反映されているわけです。
ピアノをするものにとって、ベートーヴェンのソナタは必須科目。そういえば最近ベートーヴェンのソナタを勉強していないのですが、よい人生を積み重ねて、いつかはベートーヴェンを表現してみたいですね。
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