日本人のほとんどが気がつかず言葉が不明瞭になっている 日本語の声帯アタック
「本日は、有り難うございました」
例えばこの文章。
「ほんじつわりがとうございました」と聞こえることがよくあります。
普段何気なく聞き流していますが、よく聞くときちんと言えていません。
日本人同士ですから、多少変になったとしても、何を言っているのか察することができますので、「一体何を言っているのか分からないよ」ということにはなりません。
言っていることは分かるのですが、不明瞭で「なんかはっきりしないな」と感じながらとか、言葉を察しながら聞いている状態というのは、本来の内容が聴き手に対してダイレクトに伝わっていないということが多いのも確かです。
もし言葉がゴツゴツしていたとしても、言葉が明瞭に届くほうが、聴き手にとってストレスがありませんし、内容に集中することができ、結果的により強いメッセージが伝わりやすくなります。
日本語は、言葉の頭に母音が来る場合、冒頭の例のように、前の母音とつながりやすいという特徴があります。
それでは、明瞭に伝えるためにどうすればいいのか。
母音の頭を言い直しながらさばいていくと良いのです。
言い直すとなると、「本日は」と「有り難うございました」の間にしっかりと間をおけば良いと思われますが、あまりに毎回間をおいてばかりですと、くどいですし、話しの流れが滞ります。
話しに勢いをつけて一気に語りたい場面もあるでしょう。
そのためには、「声帯のアタック」という方法があります。
声帯に息が上がってきて、それを我慢するときに「あ」と「う」の中間のような雑音がします。
そのときに、声帯が「ギュッ」と閉じることをする。
それを声帯のアタックといいます。
母音が頭にくるときに、ほんの少し声帯のアタックをくわえることで、より言葉が鮮明に聞こえてくるようになります。
トレーニングは、以前も書きました「エッジボイス」を行っていればすぐにできます。
エッジボイスは、歌手の平井堅さんが表現に用いる方法です。
「『お』おきな、のっぽの古時計、『お』じいさんの時計」など、『』の部分で母音の頭にエッジボイスを使っています。
話すときは、これをほんの少しだけ使うようにすると良いのです。
例えば「本日は、あ”りがとうございました」と、「あ」に一瞬エッジを効かせるのです。「あ」を言うときにほんの少し、声帯がギュッと閉じます。
これは話し手のセンス、さじ加減が大事で、やりすぎするとわざとらしくなりますので、気をつけてください。この方法は、特にプレゼンテーションやスピーチなどの人前や公での話すときに出来ているとよい作法です。もちろん、普段のビジネスやコミュニケーションでも使っていただけば言葉に力がつき、大変説得力が増して来るでしょう。
それでは、エッジボイスのトレーニング方法をご紹介します。
「あ」というように口を開けて、舌先は下唇か下の歯に触れているよう状態で舌を伸ばしリラックスしながら、「声を出すのをちょっと我慢するように」して、息を流し、「あ”あ”あ”あ”・・・・・」と音を出していきます。
コツは、少しの息で行い、大きな音を出さないこと。息を止めないでください。「あ”っ、あ”っ、あ”っ・・・」というように途切れずに、常に流れているように。音は平井堅さんのような声、または「呪怨」のような声です。
以上の方法で行うと、声帯のコントロールの仕方が分かってきます。
これを知っているのと知っていないのとでは大違いです。ぜひ良いメッセージを伝えていきたいですね。
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