オルタナティブ・ブログ > 大人の成長研究所 >

ライフワークとしての学びを考えます。

「声が低くて聞こえ難い」 いいえ、低い声で良いのです 知的で説得力のある響きを手に入れるビジネスボイストレーニング『低い声編』

»

「声が低くて聞こえ難い」と言われてしまう。
 
しかし私は、声は低くて良いと思います。
 
実は、私の声は本来とても高い声です。専門的に言うとソプラノという声で、女性としては一番高い声です。
でも、人前でお話しするときは、意識的に「低い声をチョイス」しています。
 
「高くて明るくて元気一杯!」の声は友人づくりには好印象なのですが、何度も経験を重ねるうちに、なぜかスピーチしたときの聴衆に対する説得力が薄い気がしていました。
 
あるとき、アメリカの女性キャスターが見事なスピーチをしているのをみて「これだ」と思ったのです。
 
そしてさらに、欧米の男性女性関係なく様々なスピーチを観てみると、ビジネスの世界では、リーダーシップを持つ声というのは「低い声」だということが分かってきました。
サッチャー元首相の映画を観ると、やはり低い声中心にボイストレーニングを行っていました。こういう方でも、声は天性のものではなくトレーニングを行っているのです。
 
日本では、特に、女性のリーダーやキャスターは高い声で話す方がまだまだ多い。
もしかしたら、今後はスピーチにおける低い声をマスターすることで、何かが変わってくるのではないかという予感がありました。
 
そしてあるときから、自分がスピーチをするときは意識して「低い声」で話してみることにしました。そうすると、その後の反応が違うのです。
 
「あなたのスピーチは良かった」「さきほど話した方とお話ししたい」と、何人もの方からお声をかけていただけるようになりました。今までそのようなことを言っていただけたことは一度もありませんでしたので驚きました。
話している内容は、同じ人間が話しているのですからそう変わるものではありません。しかし、心に与える影響力は低い声のほうが印象深いのです。
 
一般的に、高い声でハキハキしゃべるほうが難しいように思えます。
しかし、低い声の方が実は簡単なようでいて、マスターするにはトレーニングが必要です。
 
ただ単に低いだけの声と、良い低い声は大きな違いがあります。
ただ単に低いだけでは、くぐもって聴こえにくく伝わりません。
しかし、響きをともなった低い声は、あるときは厳かに、あるときは「腹を伝える」本気の声となります。
 
私は、その人に合った低い声は、その人だけの「声のブランド」と考えます。
 
だから、私がボイストレーニングするとき心を込める重心とは、その方に合った低い声を探し出すときです。そして、逆説を申し上げるようですが、低い声に響きを作り、「明るく」「透明」に磨き上げていきます。
 
本日は、低い声を探し出すポイントと、個人でもできる一番簡単なトレーニング方法をお伝えすることにします。

◆低い声の響きトレーニング
 
1、あごを下げて軽く「あ」と発音するときの口を開ける。舌を十分にのばし舌先を下の歯につける。これがリラックスした口のポジションです。
 
ポイント:口が開き難い方もいますが、口をあける関節は開けているうちにだんだん柔軟になってきますので、無理せず少しずつ開けてください
 
2、そのまま舌を上に上げて上アゴにべったりとつける。
 
3、その状態のまま、大きく息を吸って鼻だけで息をはく
 
ポイント:小鼻の両脇を締めるように意識し「スーッ」という音がするように息をはくこと。音がしなければ最初のうちは指を使ってもよい。呼吸は、胸でせずに、腹式呼吸を使うこと。
 
4、鼻に息を通しながら、途中から「ん~」と発声する。高さは普段のしゃべり声より少し高いところから。
 
5、発声したときにビリビリと振動がくる高さにまで少しずつ音を下げていく。
 
ポイント:発声は必ず一音ずつ行う。急に下げていかないように。音は少しずつ下げる。具体的には半音(例えばド→シ、シ→シ♭が半音)ずつ下げると良い。最初から大きく下げるとわかり難い。
 
6、振動がきた音を見つけたら、そのまま「ん~」と言いながら、少しずつ舌だけを下げていくと「な~」と発声される。のばして響きを維持しながら1のポジションでそのまま「あ~」と発声する。
 
ポイント:一度だけでは高さは限定されません。トレーニングはまた次の日も同じように行ってください。日々行っているうちに、少しずつ低い声が広がり、さらに低い声でも響くようになっていきます。
 
7、1のポジションで舌を上顎につけて「ん~な~あ~」を繰り返す。

以前、[m]から響きをトレーニングする方法をご案内しましたが、人によっては[n]のほうがつかみやすい方もいます。ぜひ両方行ってみてください。また、今回は低い響きを[n]からつかむもので以前書いた「nの響き」トレーニングとは少し違います。

☆☆関連記事☆☆

2010/05/14 舌筋を鍛える簡単なトレーニング方法 これで滑舌が良くなり歌にもプレゼンにも効果があります

2012/10/02 私は早口言葉のトレーニングをしたことがない 知的で説得力のある響きを手に入れるビジネスボイストレーニング『Nのひびき』

2012/09/26  「甲高い声はもういや。エレガントな低い声を出したい」 知的で説得力のある響きを手に入れるビジネスボイストレーニング 『低い響き編』

2012/09/28  「宴会では大きな声で笑う」 知的で説得力のある響きを手に入れるビジネスボイストレーニング『腹式呼吸編』

Comment(0)