「宴会では大きな声で笑う」 知的で説得力のある響きを手に入れるビジネスボイストレーニング『腹式呼吸編』
「発声のトレーニングは腹筋を鍛えなくては」、と思っている方が多くいらっしゃいます。
確かに、腹筋がバリバリに割れていたほうがお腹がすっきり見えるので、立ったときの姿が美しく、ビジュアル的にスピーチには良い影響があるかもしれませんね。
声に関しては、一般的なスポーツで行うような腹筋トレーニングは必要はありません。
特に「鍛えよう」と意識すべき場所はこの二箇所だと思います。
1、お腹のインナーマッスル
2、舌筋
筋肉としては声帯周囲の細かい筋肉も少しは使いますが、それはボイストレーニングで自然に出来てきます。
今日は、1のお腹のインナーマッスルについて少し触れてみることにいたします。
良い声を出すには十分な息が必要です。そのため腹式呼吸を行い、横隔膜を使って声を出すのです。
横隔膜は、一番下のあばら骨の後ろあたりにある膜です。
横隔膜が収縮すると、胸腔が広がり、内部の圧力が低下します。圧力を等しくするために、空気が肺の中へ流れこみます。横隔膜がゆるむと、肺と胸壁の弾力性で空気が肺から押し出されます。
横隔膜により、息が十分に流れ、声帯を通して良い声が出るのですね。
横隔膜を動かすのは、あのバリバリに割れた腹筋ではなく、インナーマッスルなのです。
インナーマッスルは、呼吸をすることによって鍛えられます。
しかし、ただ日常で行うような呼吸するだけではダメで、横隔膜を意識した呼吸をしなくては鍛えられません。普段、机に座ってばかりの仕事ですとほとんど横隔膜は使われていない状態です。まずはその横隔膜を目覚めさなくてはなりません。
◆お腹のインナーマッスルトレーニング
1、犬の呼吸
アゴを落として口を開けて舌をじゅうぶんにのばし、犬が夏暑いときするように「ハッハッハッ・・」と呼吸する。そのときお腹で動いている場所が横隔膜です。横隔膜を目覚めさせ、鍛えるトレーニング。
ポイント:吸う息と吐く息が同じ量になるように。横隔膜が上手く使えていないと、どちらかに偏ります。
2、横隔膜でとめる
アゴを落として口を開けてじゅうぶんに舌をのばし、大きくいっぱいに息を吸う。口のポジションは同じまま息を止め、ゆっくりと10数える。横隔膜を一気にゆるめ息を吐く。このとき喉で「あ”」という音がしたら横隔膜ではなく喉でとめている証拠。息は横隔膜でとめるように。
ポイント:息を吸うとき肩が上がる人が多いが、肩があがるということは腹式呼吸になっていない。
1と2を繰り返し行ってください。
3、役者笑い・女王様笑い
声帯と連動させるためにする方法。
「あ~はっはっはっ!」「お~ほっほっほっ!」と役になりきって大袈裟に笑う。横隔膜が動きながら声が出ていることを確認できる。
ポイント:結構大きな声が出ます。早朝の公園などで行うと健康にも良いかもしれません。宴会では大きな声で笑うとトレーニングにもなります。
腹式呼吸は自分の思うとおりに横隔膜を使えるようにならないと意味がありません。たいていは、横隔膜に関係するインナーマッスルを日常で使う機会がそうそうありませので、慣れていないだけなのです。まず第一歩、ぜひ意識できるようにしてみてください。