本番での出来は周到な準備あってこそ ホールでのリハーサルで気をつけること
ホールでのリハーサルがいかに重要か、ということは以前の記事でも書きました。
文京シビック大ホールでのリハーサルがありました。
今回は、私が指導を努める合唱団、コール・リバティストで、小屋敷先生をお招きしてのリハーサルです
ホール客席数は1802席。
上野の東京文化会館は2003席、サントリーホールで2006席ですから、都内でもかなり大きいホールの一つではないかと思います。
空間の広さと残響の長さが抜きん出ています。
S席に相当する2階席の最前列で聴いてみると、もう少し残響が少なくてもいいかな?とも感じましたが、デッドよりは演奏しやすいと思います。
舞台上で鳴っている音とはだいぶ違います。
ホールの響きは、質も良く素直な響きだと思いました。
残響が長いため、前の音が残ってしまい、ハーモニーの変わり目で変化がつかなかったり、細かいパッセ-ジが聴こえにくいというところがあります。
歌いまわしの間が大事です
ダイナミクスの差をいつもより意識してつけることにより、強いところ、弱いところが印象的に聴こえると思います。
弱いところは、ただフワリと弱く演奏するだけでは貧弱に聴こえます。
どんなに弱い音でも、芯のある音が必要ですね。
真綿にくるまれたダイヤモンド、というようなイメージでしょうか。
これは大ホールにおける演奏の鉄則です。
強い音の場合、ただ音量を上げるだけでは、空間に音が散ってしまい、意外と強さを感じません。
広がりのある音をイメージすると良いと思います。また、合唱の場合、きっちりハモることにより倍音が鳴り、より強く聴こえます。
ここぞというところは、難しいかもしれませんが、イチロー選手が送球するバックホームのような伸びがあるといいですね。
大ホールの場合、小さな練習室で演奏しているのをそのまま持ってくると、演奏者の表現や感情が伝わりにくいことがあります。
細部のきめ細やかさも、さらに磨きをかける必要がありますが、何をやりたいのか、伝える練習をしていくことがこれからは大事だと思います。
ただし、お客さんが満席近くなれば、人が吸音材となってちょうど良い響きになるので、今の残響から10%くらい差し引いて予測しておくと良いかもしれません。
クラッシックの演奏は、マイクを使用しないので、自分たちですべての調整を行うところが厳しいですね。
しかし、いくらリハーサルをやったとしても、やはり本番は水物。
十分準備を行って、当日もう一度立ったときに「リハーサルと違う」とあわてないようにしたいですね。
そういえば、アップルのスティーブ・ジョブスさんもプレゼンのためのリハーサルを入念に行うそうです。
あれだけの内容は、やはり周到な準備があってこそ、なのですね。