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青春の詩人 矢澤宰「光る砂漠」 今もキラキラと輝く命

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21歳でこの世を去らなければならなかった詩人、矢澤宰(1944年~1966年)の詩で、萩原英彦(1933年~2001年)作曲の合唱組曲「光る砂漠」。
 
矢澤宰は、腎臓結核という重い病のため、ベッドから起き上がれない生活を繰り返し、そのときの気持ちを詩に託しました。
まだ元気だった頃、野原を駆け回ったりした思い出や感触が鮮やかに詩の中に表現されています。 
元気な同級生は青春を謳歌している時期、宰は身動き一つできない入院先の病院で、看護師の女性に恋をしました。
 
作曲家の萩原英彦は、その去り行く看護師の後姿をイメージし、アルカデルト作曲の(1510年~1572年)の「アヴェ・マリア」という曲のテーマ「ラソラファソラ」を逆から読んだ音型「ラソファラ ララ」をこの曲のテーマとしたのです。
このテーマは、牧師の導きによって聖書に親しむようになった宰を象徴しているようにも感じます。
 
このテーマは全曲通して30分以上もかかるこの曲集の中で、循環し、展開していくのです。
 
私がこの曲でついつい思い出すのは、親族が入院したときに隣のベッドにいた青年・・・。
 
5年前になるけれども、あの青年はどうしたのだろうか、と思います。
 
見たところ20代前半の青年は、重い病の治療が長引いている様子でした。
ベッドの横には大きなザクのプラモデルが置いてありました。
イマドキの若者風のお友達がたくさんお見舞い来て、本当にあっけらかんと楽しそうに振舞っていたのが印象に残っています。
その青年は、友達の様子をどのような想いで見ていたのでしょうか。
若くして死をみつめなくてはならないその運命をどう受け入れていたのでしょうか。
 
昨日から五反田ゆうぽうと大ホールにて、東京都合唱際が開催されています。
明日、私が代表と指導を努めている合唱団コール・リバティストが、「光る砂漠」の中から「再会」と「ふるさと」を演奏します。
 
矢澤宰のキラキラと輝く青春への想いを表現できれば、と思います。

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