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時代のエンターテイナー 天才モーツァルトの意外な一面

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モーツァルトのオペラ「ドン・ジョバンニ」の中で、ツェルリーナの歌う「ぶってよマゼット」というソプラノ・アリアがあります。
 
村娘ツェルリーナは結婚式の当日、女たらしの貴族ドン・ジョバンニに誘惑されてしまいます。それが婚約者のマゼットにばれてしまい、許しを請うのです。無邪気にお願いするツェルリーナ。結局、マゼットはしぶしぶ折れて仲直りするのです。
 
このアリア、何も分からず聴いているだけだと純粋で美しいメロディ、天上の音楽のようです。
 
しかし、これを自分で歌うことになったとき、詳しく歌詞を調べてみて驚きました。
もし言葉が分かる子供がいたら、聞かせるのはちょっとためらいます。
 
「ぶって、ぶって、マゼット。あなたのかわいそうなツェルリーナを。
あなたのお仕置きを待ってるわ。」
 
「髪の毛を引き抜かれてもいいの。
目の玉をくり抜かれてもいいのよ。」
 
「そうしたら嬉しくてキスするわ」
 
これを歌うときは、純粋に明るく、内容を深堀して歌わないほうが効果的です。
ツェルリーナは、策略も何もないおぼこい役。
口ではこう言ってても、悪いことをしたとはちっとも思ってないのです。
こんなキャラはモーツァルトしか思いつかないかもしれません。
 
おふざけが大好きだったモーツァルト。
映画「アマデウス」でも、馬鹿笑いをしたり、女性を追いかけ回したりし、ライバル作曲家サリエリが「何という下卑た若者だ」とあきれていたシーンがありましたね。
 
友人のホルン奏者にホルン協奏曲を作曲したときは、わさと難易度の高いパッセージを入れて、自筆で「頑張れロバ君」「ああっ、ああ~っ」「何という調子っぱずれ」「お疲れさん」など楽譜に書き入れていたようです。
 
また、モーツァルトは下ネタ好きで、残されている手紙を見ると、ここではとても書けないような内容でいっぱいです。
 
他には「ボクのお尻をなめろ」k.231、という6声のカノンを作曲しています。
パーティなどで、男声6人で合唱して盛り上がったようです。
 
モーツァルトは、崇高で純粋な作品も作曲したかと思えば、一般大衆が喜ぶようなサービス精神たっぷりの曲も作曲しています。
そんな面と天才が同居するのがモーツァルトなのです。
 
モーツァルトは大芸術家でもあり、その時代のエンターテイナーだったのかもしれませんね。

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