優雅でリッチなライフスタイル モーツァルトは売れっ子アーティストだった
モーツァルトの伝記を読むと、かなりの貧困生活をしていた、と書いてあります。
冬、暖炉の薪を買うお金もないとき、「ダンスを踊れば暖かくなるさ」と言って、奥さんのコンスタンツェと踊り明かした、などというモーツァルトらしい悲しくも美しいエピソードがあるほどです。
「ああ、そんな状態であの名曲の数々が生まれたのね・・・。」
とイメージしながらだと、感動も2倍3倍なのです。
交響曲第40番の悲劇的な旋律を聴けば、もう目に涙がうっすらにじんでしまいますね。
しかし、「モーツァルトは実は高給取りで浪費家であった」という新しい説がつい最近発表されました。
日経新聞平成22年4月7日夕刊の記事をご紹介したいと思います。
・・・・・以下抜粋・・・・・
モーツァルト研究者でつくるグループは、オーストリアやスイスなど各国の24人でモーツァルトの晩年の10年間の家計などを5年がかりで調べた。
モーツァルトの年収は先輩として慕っていたオーストリアの作曲家ハイドンの2倍以上で、当時の大学教授の約15倍だった。モーツァルトは7つの部屋と厩舎を備えた快適なアパートで生活。貴族的なライフスタイルを好み、散財したという。
グループはモーツァルトが作曲活動や音楽のレッスンなどで得た収入と、衣装代から楽譜の購入費まで日常生活の支出を詳細分析。モーツァルトが住むアパートに店を構えたワイン小売商の価格表も参考に「収入の17%を酒宴に費やした」とはじき出した。
「モーツァルトは従来知られていたよりも2倍は(経済的に)豊かだった」と説明。研究をまとめた著書を近く発表するという。
・・・・・以上抜粋・・・・・
現代で言うと「超売れっ子アーティスト」といったところでしょうか。
モーツァルトの住むアパートに店を構えてしまったワイン屋さんがいた、というのはすごいですね。モーツァルトが買うお酒で商売が成り立つほどだったのでしょう。
ミロシュ・フォアマン監督の映画「アマデウス」の中では、豪遊するモーツァルトが描かれていました。
ただ、映画の中では、作曲してもあまり売れていなかったようなイメージでしたので、「曲も売れてないのにこんなに遊んで大丈夫かな」と心配しながら観ていたほどです。
しかし、交響曲にしても、数はベートーヴェンの4倍以上書いているのです。
確かに良く働いています。
入るのも多かったけれど、使うのも早かったというわけですね。
音楽芸術の最後の最後、一番大事なのは寂寥感なのではないかと考えます。
どんなに明るい曲であろうとも、涙を浮かべながら疾走するというイメージが彼の音楽をより高みに押し上げていたように思います。
こういった研究がさらに進んでくると、また一味ちがった解釈のモーツァルトの演奏を聴くことが出来るようになってくるかもしれませんね。