ビブラートがかけられたら歌は上手に聴こえます 甘く美しいビロードのようなビブラートをかけてみたい
先日、バリトン歌手の方と話していました。
「ちりめんビブラートの子がいてね。ジャズの子なんだけど。どうしても中音域のピッチが下がるんだよ。クセなんだね。ビブラートがちりめんってことはさ、身体使えてないってこと。自分でコントロールが出来てないってことなんだ。」
ビブラートの中でも、「ちりめんビブラート」と言われる、不規則に細かく痙攣するようにゆれるビブラートがあります。
ビブラートは基本的にお腹でかけるものなので、お腹が使えていれば、ちりめんになることはありません。ちりめんは音程も不安定になりやすいのです。
ただし合唱では極端なビブラートはあまり使用しないのが通常です。
だからといって、本当にノン・ビブラートで歌うと、子供の歌のようになってしまうので、多少の自然なビブラートは必要と考えます。
バロック時代や古典派時代の曲は、この頃、あえてノン・ビブラートで演奏する方法をとりますが、これを芸術的に聴かせるのはプロでも難しいと言われています。
オーケストラでも、「ピリオド奏法」と言って、ノン・ビブラートで演奏するのが流行っています。これも技術を必要とする演奏方法なのです。
通常、演奏にとってビブラートは必須で、感情表現にぴったり合ったビブラートは音楽を2倍も3倍も素敵に聴かせてくれます。
ではどうやったら素敵なビブラートがかけられるのでしょうか?
皆さん、いきなり「はいここ、ビブラートをかけて」といわれてもどうやってかけたらいいのか分かりませんよね。
さて、今日はだれでも出来るビブラートのかけ方をお教えしましょう。
ビブラートのポイントは「お腹」です。
しかも、お腹の中、インナーマッスルを使います。
腹筋トレーニングなんて必要ナシ、ですよ。
歌のインナーマッスルは、歌うことと呼吸でしか開発されません。
要は、使い方をマスターする、ということなんですね。
「はーい、それではお腹をぐいぐいと押してみましょう!」
と言うと、皆さんいつも通り「きょとん・・」としています。
でも、とにかくだまされたと思ってやってみてくださいね。
まずは「ア~」と長くのばしながら、お腹を自分の手で波動を与えるように細かくリズミカルに押してみましょう。
そうするとビブラートをつけたいと思わなくても自然にビブラートがつくんです。
お腹の腹筋を硬くすると出来ませんから、とにかくリラックスして、お腹を柔らかくしてくださいね。
この感じ、よく覚えてください。
すぐに声帯も反応するようになってきますからね。
「ア~」の他にも「オ~」など違う母音で、いろいろな音程で試してみてください。
毎日、数分でもこのトレーニングをすると、手を使わなくても自然と身体が覚えて、ビブラートが出来るようになっていきますよ。
目標は、ビロードのようなビブラートです。
次回のビブラート記事では、さらに詳しくビブラートの練習方法を書いていきたいと思っています。