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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

来年のIT投資は若干の減少、そんな中で日本の企業はDXを実現できるのか

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 ITRが恒例の「国内IT投資動向調査2020」の発刊に合わせ、内容についての説明会を開催した。全体としては来年度以降どうやら国内企業のIT予算の伸びは鈍化するものの、デジタル変革に向けた体制整備と技術への投資は徐々に本格化するのではとの見解。

 調査の詳細は、さまざまな報道で紹介されるだろう。なので、個人的に気になった点を少し紹介。それがIT人材への投資のところ。総従業員に占めるITスタッフの比率に関する調査で、2019年度は2018年度に比べIT部門の正社員が3.0から3.2%へと微増、さらに2020年度計画でも3.3%とほんの少し伸びる予定だ。IT子会社の社員、その他ITスタッフ、ユーザー部門のサポートスタッフなど全体を見ても、2018年度以降はほんの少し伸びる傾向が見て取れる。

Snip20191212_1.png デジタル変革に取り組むには、アジャイルでDevOpsのIT体制が必要だ。市場変化を迅速に把握し、それに柔軟に追随することになるから。そしてこのアジャイルでDevOpsな体制は、外部に丸投げでは実現できない。なので日本企業もITの内製化に舵を切らないとならない、というのがここ最近の我々の記事ネタだ。

DSC_5867.jpg これを裏付けるかのような、IT部門正社員の増加という調査結果。いよいよ日本企業も、内製化に方向転換したのかとも思われる。とはいえ、どうやらそうでもないようだ。ITRのシニア・アナリストの三浦竜樹氏によると、内部でコードを書いて素早くアプリケーションを構築するような「開発のできる人材」がIT部門の正社員となっている訳ではないのではとのこと。

 業務部門の人材がITの組織に移動していたり、あるいはIoTなど新しい技術に知見のある人材が新たに採用されたり。彼らは作る人材ではなく、どちらかといえば考える人材。彼らが考え、SI企業やベンダーの力を借りPoCを始めているというのが現状か。そして、PoCで何かができたねとなるけれど、そこから先になかなか進めずに「PoC疲れ」と。

 このままでは、なかなかデジタル変革にはつながらない。PoCに着手しているのは評価できるかもしれない。しかし、トータルとしてのIT予算も停滞気味。バブルのピーク時期には、売上げの40%ほどのIT予算を確保する時期もあった。とはいえ今では、多くの企業が売上げに対し30%ほどのIT予算というのが相場になり増える予感はしない。

 もちろん、投資すべきITの性質も変わり時代も違う。ここ最近はサブスクリプションでスモールスタートが当たり前なので、デジタル変革に取り組み始めた企業でもそれほど大きなIT投資はいらないかもしれない。けれど、なんだかもやもやする。こんなペースでは、2025年の崖は越えられないのでは。

 2020年がさまざまな面でのマイルストーンであり、ここをターゲットにしたITプロジェクトも多かったために、プロジェクト終盤で予算も縮小したとも捉えられる。そしてデジタル変革を見据えて2025年が新たなマイルストーンになるとの考え方もあり、それに向けまた徐々にIT予算が増える可能性も考えられる。

 IT業界的には、そうなって欲しいところ。そのためにも来年度以降のIT投資の動向は気になる。2025年がデジタル変革のための新たなマイルストーンになり、「手を動かして作る人材」を正社員で採用する企業も出てくる。IT業界で仕事をしている身としては、そんな動向になる将来を期待する。

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