人のすべての情報をバックアップしてロボットにリストアする時代が来るかもしれない
先週アクロニスは、コンシューマ向けのバックアップのソリューションであるAcronis True Image 2016とクラウド版のTrue Image Cloudを発表した。
アクロニス日本法人の代表取締役 大岩氏は、同社の製品、サービスの中でコンシューマ向けがもっとも長く提供しているものであり「アクロニスのシステムバックアップには、コンシューマの使いやすさがあります」と言う。この使いやすさの部分はエンタープライズ向けにも踏襲されている。
そしてアクロニスが今もっとも力を入れているのがクラウドのサービスだ。さらに今回はマルチデバイス対応で、iPhoneを初めとしたスマートフォンもバックアップ対象に加えている。
「個人のデータ量が莫大に増えています。それをマルチデバイスで共有するという傾向があります。さらに日本はiPhone率が高い。それを保護するのにクラウドバックアップも選択できるようにしました」(大岩氏)
この比の発表会では、コンシューマ製品のイベントへの対応としては初の来日となったCEOのセルゲイ・ベロウゾウ氏も参加した。それだけ今回のクラウド版のサービスには力を入れているということなのだろう。アクロニスでは収益の50%をアジアパシフィック及び日本地域から得るとの目標も掲げられていると。なのでアジア市場は、同社にとってはかなり重要な存在となっている。
セルゲイ氏は、「現実世界のあらゆることがデジタル化しています。データが増え、データがすべてです」と言う。そして、人には空気、水、食、シェルター(家など)が求められるが「5つ目がデータの保護です。今後データの価値が高くなると、さまざまな問題も出てきます。データ喪失は起こるかもではなく起きるものと考える必要があります」と言う。
アクロニスはそれに対応するための、クロウドのプラットフォームを開発中だ。世界にある、あらゆるデータをこれで守ろうとしているのだとセルゲイ氏は言う。今回のクラウド版のサービスは、最新のオンプレミス版のAcronis True Imageの機能をすべて踏襲しており、その上でクラウドでも利用できる。モバイル端末のバックアップにも対応し、クラウドでのアーカイブ機能も提供する。iPhone、Androidはもちろん、Windows Phoneもターゲットに入っているのはユニークだ。モバイルバックアップは、単体の製品でなくTrue Imageに含まれる機能だ。
セルゲイ氏の言葉の中で、Dropboxのようなクラウドでのデータ同期とバックアップ、リカバリーは目的が違うという話はなるほどなと思わされるものだった。クラウドストレージにデータを同期しておけば、ローカルのデータがなくなってもクラウドに保存されているかもしれない。しかし同期だけだと、ファイルが壊れた状態であれば、壊れたまま同期されてしまう。対してバックアップ、リカバリーはバックアップを適宜行っておき、任意の正常な時点に戻すことだ。なので、クラウドのデータ同期とバックアップは組み合わせた形で行っておくことがより確実にデータを保護することにつながる。
セルゲイ氏はもう1つ将来構想として夢のようなことも語った。データ保護のターゲットは、今後普及するIoTなども含んだあらゆるものを保護することだと言う。このあらゆるものには「人の情報」も含まれるのだと。人の情報をすべてバックアップして、それをロボットにリストアするとかが将来的には実現できるようにしたいとと言うのだ。これが実現できれば、亡くなった人のバックアップ情報をロボットにリストアすれば、その人が生きていたのと同じような会話がロボットとできるようになる。
夢のような話にも聞こえるが、昨今の人工知能の進化などを見ていると、まんざら絵空事でもないのかなぁと思えてくる。