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ビッグデータ活用にもいろいろある

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 すでに記事が公開されてから少し時間が経ってしまったが、ビッグデータに関するディスカッションに参加させてもらった。

 そうそうたるメンバーの中で、さまざまな話をしていて思ったのは、あらためてビッグデータにもいろいろあるなぁと言うこと。このディスカッションの場では、日立から同社の考えているビッグデータ活用アプローチを解説してもらった。その内容は、なんというか「王道のアプローチ」で、それなりに手間とコストもかけるもの。なので、きっちりと事前に検証も行い、かつてのエンタープライズ・データウェアハウスブームの時のように、途中で大規模なシステムを入れることが目的にすり替わってしまい失敗するというような過ちを起こさないような配慮もきちんとされているものだ。

 とはいえ、ビッグデータ活用で、このような「王道アプローチ」をとれる企業はまだまだ少ないのが現状だろう。そうであるのに、多くのベンダーが王道のアプローチばかりを語っているように思う。そればかりだと、まさにビッグデータという言葉は口先だけで実態の伴わないバズワードになりかねない。実際、日立でもそのあたりのことは認識していて、顧客の情況に応じ柔軟な提案をする体制を整えつつあるようだ。

 最近になって、ビッグデータについて自分なりに整理できたかなと思うのは、ビッグデータ活用については「王道アプローチ」と、ビッグデータブームによって進化した「ビッグデータ関連テクノロジーの活用」の2つがあるなということ。王道のアプローチについては、いまはコストも手間も、そして時間もそれなりにかかる。これが、パッケージ化されたりノウハウが蓄積されたりすることで進化し、やがては手軽に導入できるようになる日が来るのだろう。

 これに対しビッグデータ関連テクノロジーの活用については、昨年ぐらいから多くの企業が取り組み始めている。たとえば、Hadoopを使って大量データのバッチ処理を高速化するなんて話しも、その1つだろう。さらに、ITRの調査結果にもそれは現れていて、ビッグデータを追い風にBIやデータウェアハウス、さらにはETLなどの市場が活性化しているのもこの領域だろう。

 王道にしても関連テクノロジーの活用にしても、大切なのは自分たちは結局のところ何をしたいのかと言うこと。決して、新たな大規模なシステムやソフトウェアを導入したいのではない。もっと言えば、ビッグデータを分析するのも、目的ではなく手段に過ぎない。得られた分析結果をもとに、新たなアクションを起こせるか、それでビジネスが拡大するかが重要。優秀なデータサイエンティストがいて、素晴らしい分析結果を導き出してくれたとしても、それをもとに変化できなければ、無駄な作業をしたことになる。

 どんなシステムでもどんな方法でもいい、新たなデータの活用をしアクションのところまでいければ、ビッグデータはバズワードではなく真の重要なITキーワードになるはずだ。

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