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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

自分の家にも風車を付けたいと強く思ったのに

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 先日、テレビ東京のカンブリア宮殿を見て、こりゃあすぐにでも自宅に発電用の風車を付けたいと思った。

 SANSUIというオーディオメーカをご存じだろうか。私が中学や高校生頃には、あこがれの国産高級オーディオメーカーだった。ところが、高級オーディオブームが去った80年代後半からはビジネスが衰退して、1990年には海外ファンドに買収される状況に。買収時に社長を勤めていたのが、伊藤瞭介氏。その屈辱を跳ね返すように伊藤氏が立ち上げたのが、ゼファーというベンチャー企業だ。

 SANSUIでの失敗を糧に新たな挑戦をしているわけだが、このゼファーが提供しているのが小型の風力発電装置。ごく少ない風でも効率的に発電できる優れものだ。小さくても、かなり効率がいいらしい。風が少ないときにも自ら回転して勢いをつけることで風を捉えることができるとか。この風車、形もかわいい。騒音の課題にも果敢に挑戦しており、フクロウの羽の構造を参考にして効果を発揮している。伊藤氏は、とにかく物作りに拘っているとのこと。番組で紹介された、いいものを安く作る姿勢にもかなり好感が持てた。

 実際に、海外からの問い合わせも増えているとのこと。日本は適切な設置場所の問題もあり、大規模な風力発電は国際競争力でも13位と出遅れているとか。対して米国や中国など、ここ最近一気に風力発電への投資は加速されており、大きな市場ができつつあるようだ。アジア地域の関心も高い。

 大きな風車による発電は、電磁波や騒音の問題もあり、国土の狭い日本ではなかなか普及させることは難しいだろう。台風への対応も難しいらしい。とはいえ、家庭用の風力発電なら、そのあたりも技術力の進化で解決できそうな気配だ。そもそも、どこかで大規模に発電するよりも電気を利用するすぐそばでこまめに発電したほうが、送電のロスもなく効率はいいはず。ちなみに、ゼファーの風車は台風にも対応しており、風速50mでも風車を止めずに発電できるとか。

 ところが、せっかくゼファーのように小さくて効率がよく、さらに騒音も抑えた風力発電装置を提供しても、それの普及に水を差すような法律が成立したとか。それが太陽光による余剰発電分を現状の2倍の価格で買い取るというやつだ。風力と一見関係ないように見えるが、風力と太陽光を併用していると、太陽光の分も2倍では買い取らないとか。そのため、風力を止めてしまう懸念がでているとか。法律ってなんだかおかしい。

 この風力発電装置の導入費用は150万円くらいとのこと、すぐに買って付けようというにはまだまだ高いかもしれないが、自動車のエコカーなみに補助金でも出してくれれば手が届くかもしれない。都会の新築ビルには、こんな風車付けるのが義務化しちゃってもいいんじゃないかと思ってしまう。そうなれば、都会のビル群も風の谷になるのか。民主党政権には、太陽光だけでなく風力にも目を向けて欲しいなぁと、つくづく思ったのだった。

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