モルディブは国としてカーボンオフセットに取り組む
モルディブはインド洋に浮かぶ島国だ。1,200もの島々の多くが、海抜わずか1.5メートル程度しかないという状況だ。
今朝ラジオから、このモルジブが国としてカーボンオフセットに取り組むのだという話題が聞こえてきた。モルディブにとって、地球温暖化は深刻な問題だ。温暖化により海面が上昇すれば、国がなくなってしまうのだ。世界的な気候変動の影響で,2100年には国土のほとんどが水没してしまうのだという。
そこで、かなり積極的な温暖化対策を国として実施することになったのだ。まずは化石燃料に代わって、太陽光熱、風力のみを利用することにし、国内でのエネルギーをまかなうという。さらに観光の国であるモルディブは飛行機で環境客が訪れるわけだが、その際に利用されるジェット燃料の消費で発生するCO2については、排出権を購入することでオフセットするのだ。
これ、簡単なことではない。太陽光などの利用は、徐々にシフトしていくことで可能かもしれない。しかしながらジェット燃料はそうはいかない。じつはこれを相殺するには11億ドルのお金が必要になるらしいのだが、同国のGDPは8億ドルに過ぎないのだ。
さらに、この方法で仮に国としてカーボンオフセットが実現できたからといって、それで温暖化が止まり海に沈まなくなるかはわからない。だったら大きな費用をかけずにいっそ同国の国民38万人は移住したらどうかという話にも。今朝のラジオに出演していたモルジブの副大統領の方は、それでもカーボンオフセットの方法を選ぶし、自分たちの祖国が失われることを諦めたくはないとのことだった。「モルディブには私たちのライフスタイルがあり、文化がある。これはお金の問題ではない。私たちのアイデンティティーを捨てさせ、環境難民にすることはできない。」とのこと。これ、至極当たり前のことだ。
当然ながら、モルジブは他国の温暖化対策を強力に促す必要があるわけだ。それを訴えるには、まず自分たちがそれを実施しなければならないと考えたと言う。モルジブの島のいくつかは、すでにカーボンオフセットを実現しているところもあるとか。島という単位でできるならば、それを国に拡大し、さらには世界に拡大する。できない、無理だお金がかかりすぎるというのではなく、やる、やるためにはどうしたらいいかを考え、まず率先してそれを行動に移す。駆け引きしている場合ではなく、温暖化への対処というのはそういう性格の事柄なのだということを、改めて思い知らされる放送だった。
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