次世代のデータセンターは外気で冷やす
不況だとはいうものの、データセンター事業者にはそれなりの追い風があるのではと言われている。
企業が二酸化炭素排出量を削減すること考えると、自社にデータセンターをもつよりも、専業のデータセンター事業者に依存したほうが効率的だという判断もあってか、データーセンターはそれなりに堅調な需要に支えられているようだ。
とはいえ、ユーザー企業のシステムを集めることになれば、いくら今後仮想化とかを使って効率化するとはいっても、集約で熱もより多く排出されるしそうなればCPUが消費するだけでなくエアコンの電力消費も膨大になる。
数年前から、いっそのことアラスカとか気温の低いところにデータセンターを作ればいいじゃん、といった話は出ていたけれど、ここにきてそれがかなり現実かしてきたようだ。データセンターおよびビジネス・コンピューティング全般のエネルギーの効率化に取り組む世界規模のコンソーシアムであるグリーン・グリッドでは、データセンターや施設の管理者が、北米のデータセンターの冷却に活用できる外気の分量を簡単に試算できる無料オンラインツールとマップを公開している。外気を使うことで、効率的にデータセンターを冷却することをシミュレーションできるのだ。
そんなニュースを聞いたあとに、先日Oracle OpenWorldの事前の説明会に参加したおりには、同社が米国ユタ州の山の中に新たなデータセンターを構築しており、ここがかなり外気を使って冷却をしているとの説明を受けた。ほぼラックが外気にむき出しに配置されているとかで、冷却に必要な電力は従来の20%で運用できるとか。データーセンターの構築に利用しているさまざまな建築素材も、地元でなるべく調達できるものを採用し、さらにリサイクル可能なものを極力利用するようにしているとか。また、発電もデータセンターの近くで行うことで、エネルギーの伝送ロスを減らすとかさまざまな工夫で次世代のデータセンターを運用しているらしい。
たしかに、外気をうまく活用できれば、電力使ってエアコン稼働させて冷やすより、かなりエネルギー効率は良さそうだ。二酸化炭素の排出量も大幅に削減できるのかもしれない。とはいえ、なんとなく抵抗感があるのは何故だろう。この話がエスカレートして本当にアラスカや北極に近いところにデータセンターができちゃったりすると、そのあたりの気候が変化して生態系に影響を与えてしまうのでは、そうなるとシロクマは大丈夫なのかといらぬ心配をしてしまうからだろうか。
地球全体規模でみれば、都会でエネルギーをたくさん使って冷やすよりは、外気を有効に活用する方が効率的だということが理屈では理解できる。だけど、都会の環境がある程度悪くなっても許容できるような気がするけど、貴重な自然のあるアラスカや北極の環境が変わってしまって本当に大丈夫なのか。
外気を利用して冷却するデータセンターを運用する事業者は、ぜひとも中長期的に周辺環境の環境変化をきっちりと調査して欲しいなぁと思う。そして、外気だから効率的なのだとおごることなく、さらなるエネルギー消費の削減に注力して欲しいなぁと思うのだった。シロクマのためにも、是非是非お願いしたい。