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サーバー仮想化が企業に普及しない意外な理由

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 本日、EMCが仮想化コンサルティングサービスに関する記者向けの説明会を開催した。

 内容的には、企業はサーバーの仮想化を求めているのではなく、むしろデータセンターの仮想化を求めているので、EMCではそのためのコンサルティングサービスを提供するのだということ。単にサーバー仮想化を導入するだけでは、インフラのコストを一時的に削減することはできても、もっとコストがかかっているいわゆる運用の部分のコストはあまり削減できない。逆にせっかく仮想化を導入しても、運用の仕方を仮想化に最適化していないと、むしろ手間が増える場合すらあるという。

 このあたりを解決するために、サーバー仮想化だけでなく、ネットワーク、ストレージの仮想化、さらには仮想化で集約することでリスクも集約してしまうことの対策のためにも、災害対策も含めコンサルティングすると言うことだ。

 さて、そんな発表の中で、自分が面白い話だなぁと思ったのは、ちょっと本質とはかけ離れた話だ。VMwareのライセンスは順調に導入が増えているし、リサーチ会社の予測でも仮想化は今後急激に普及すると予測されているけれども、実は企業での本格的な仮想化の活用というのはあまり進んでいないという印象があると言う。これは、とくに日本の市場での話だ。検証や部門単位で試験的に利用されてはいても、全社規模で仮想化を活用する例はまだ少ない。本来は全社規模で活用することでその効果も大きくなるのだが。

 で、このように本格的にサーバー仮想化が普及していない理由の1つに、日本ではサーバー仮想化製品を多く売っているのが、サーバーハードウェアのベンダーだからじゃないかと言うのだ。サーバー仮想化は、ハードウェアを減らすソリューションだ。そのソリューションをサーバーハードウェアをたくさん売りたいベンダーが真剣に売っていないのではないかと言うのだ。うーむ、これって確かに十分ありそうな話だ。いままで5台売れていたものが、まともにキャパシティの設計をしたら1台しか売れない。だったら、ちょっと余裕を見て2台で提案。そうすると、コスト削減効果は半減なんてこともあったりしそうだ。

 本当にこんなことがあるかはわからないけれど、気づかないうちに深層心理で仮想化に抵抗してしまうというのはありそうに思える。実際、今日の発表会の質疑応答のやりとりのなかでも、突き詰めればEMCとしてもストレージの仮想化を提案する際には、完全に公平な目では見られてはいないかもとのことであった。

 とはいえ、こういった抵抗感も払拭されるくらい、仮想化がデファクトスタンダードな存在になるのもそう遠いことではないとは思うではあった。

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