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何を捨て何を選ぶのか

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 昨日、「不況脱出とCO2削減のジレンマ」というエントリーを書いたが、CO2排出量の削減を進めると、GDPを下げることになるという試算が出たようだ。

 環境メディアの記事によると、1990年比で25%のCO2排出量の削減を行おうとすると、実質GDP(国内総生産)を年率で最大0.4%程度押し下げることになると、政府の中期目標検討委員会が試算したとのこと。

分析の結果、温室ガスの削減を進めるほど経済的影響は大きくなった。「25%減」を実行した場合の実質GDPは、05年から20年までの累積で3.2~6.0%抑制される。また、20年までの年平均失業者数を77万~120万人増やす要因となり、同年の可処分所得を1世帯当たり22万~77万円押し下げる。

 この試算では、25%という削減で世帯の所得もかなりの額が減少するようだ。国民は、はたしてこれを受け入れることができるだろうか。これは当然ながら、CO2排出量削減だけの問題では終わらない。さまざまな政策の予算は、基本的にはGDPが成長することが前提で計画されている。そういったものも、二酸化炭素排出量を削減しようとすれば、大きく変更せざる得ないのだ。

 こうなると、ジレンマと言うよりは何を選択するのかということになりそうだ。もちろん、GDPを下げずにCO2の排出量を削減できる画期的な代替えエネルギーが生まれるならばいいけれど、現状の延長線上では、CO2の排出量も削減して同時にGDPも上げるというのが不可能ということになる。まずは、CO2の排出量を増やさないために何かをあきらめる必要があるのだろう。それと同時に、画期的な化石燃料に変わる代替えエネルギーを早急に開発する必要がある。

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