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不況脱出とCO2削減のジレンマ

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 今日から、高速道路の値下げが始まった。土日、祝日、どこまでいっても1000円。

 ニュースなどを見る限り、サービスエリアはかなり混み合ったところもあったようだけど、高速道路自体はそれほどひどい渋滞にはならなかったようだ。増えた分の車は、当然ETC付きなので料金所などもスムーズに進行できたためもあるのだろう。

 今回の高速道路料金の割引、とりあえず出だしは順調で、SAや各地の観光地などはこれまでよりも売る上げなど上がったことだろう。とはいえ、一方でJRやフェリー運行会社などは顧客を奪われると言うことで、財政支援を要望するという動きもあるようだ。

 幸いにして、大きな渋滞も発生しなかったのでひとまずは大きな問題にはならないのかもしれないけれど、今回の割引で車の利用が増える、それも土日、祝日に集中するためにひどい渋滞が発生するようであれば、当然ながらCO2の排出削減にはマイナスに働くことになる。直近の不況脱出のためには効果があるのかもしれないけれど、CO2削減という中長期的なシビアな目標には逆にマイナスとなるのは明かだ。

 さまざまな経済対策で、短期間で不況脱出に効果がありそうなことは、おそらくCO2の排出量をいまより増やしかねないかもしれない。とはいえ、このまま不況でいいわけではないので何らか対策もしなければならない。これはちょっときびしいジレンマだ。少なくとも、対処療法的な対策と同時にトータルではCO2を大幅に削減できる中長期的な景気対策案も実施しなければならない。これはかなり難しいかも。

 高速道路を安くすることと同時に、たとえば、都会の車の通行を大幅に規制してもっと効率的な都市交通を導入するといった、日本の交通システムの大きな変革についても、この機会に是非とも考えて欲しいなと思うのだった。

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