オルタナティブ・ブログ > むささびの視線 >

鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

SaaSってISVの海外展開にも有効なのね

»

 本日は、イベントSaaS Worldの取材に行っていた。わけあって、ずっとMIJS(Made In Japan Software Consortium)のセッションに参加。なかなかおもしろい話も聞けて、それなりにためになった。

 ここのブロガーでもある、インフォテリアの平野さんが登壇したパネルディスカッションがあった。MIJSの海外展開がテーマだったのだけれど、どちらかというと登壇した各社(サイボウズ、トレンドマイクロ、クオリティ)の海外展開の経験とこれからの展望が話の中心に。

 なかで、なるほどなと思ったのが、前出の平野さんの話。かつては、いきなり国内で実績ないまま海外展開を図ったけど、見事に失敗したとか。その経験もふまえ、いまではSaaSを利用して、おもしろい海外展開ができつつあるようだ。

 最初から英語版のSaaSアプリを出してみたり、SaaSでアジア各国版を同時に出すとか、そういった工夫をしているとか。ようは、各国向けにパッケージ製品をローカライズするというのではなく、SaaSでの提供、つまりは、たんにSaaSで多言語対応するだけで海外展開を実践しているのだ(もちろん、実際はそんなに単純な話ではないはずだけど)。

 で、ちなみに、SaaS提供している英語版のチャットソフトは、一番使われているのはどこかという、なんとイランだとのこと。これまた、予想だにしていなかったことらしい。いいものを作り、なんらかその国にフィットさえすれば、SaaSでは展開の速度は意外と速いようだ。

 パッケージのままでの海外展開だと、現地での販売経路を確保、流通をどうするかなど、製品の本質とは関係ないところで苦労することになる。どちらかというと、製品力よりそういった販売力の確保が敷居の高さになる。それがSaaSでは、そんな敷居が存在しないのだ。これはじつは海外展開に限った話ではなくて、国内でも同じこと。いいアイデアがあるのなら、パッケージにすることをまず考えるのではなく、SaaSに乗せてしまえば素早く、安く展開できる。そのことに、改めて気づかされたセッションだった。

Comment(2)