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【書評】プロとしてのOracleアーキテクチャ入門

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 書評用に書籍をいただいていたのに、なかなかエントリーできずに気になっていた。そんなわけで、一気に2冊ほど簡単な書評を。

 Oracle現場主義というシリーズのうちの一冊だ。Oracle9i/10g/11gに対応、目次構成は以下のようになっている。

■INTRODUCTION なぜOracleのアーキテクチャを学ぶのか

■SECTION Ⅰ Oracleアーキテクチャ概要

 CHAPTER 01 データベースとインスタンス

 CHAPTER 02 クライアントアプリケーションとサーバープロセス

 CHAPTER 03 データファイルと関連する構成要素

 CHAPTER 04 REDOログファイルとREDOデータ

 CHAPTER 05 サーバーパラメータファイルと制御ファイル

 CHAPTER 06 Oracleのメモリ管理

 CHAPTER 07 その他の構成要素

■SECTION Ⅱ スキーマオブジェクトとデータ格納方式

 CHAPTER 08 ユーザーと権限

 CHAPTER 09 テーブルとデータ型

 CHAPTER 10 索引の仕組み

 CHAPTER 11 その他のオブジェクト

 CHAPTER 12 オブジェクトの格納方式と記憶域

■SECTION Ⅲ SQL処理の仕組み

 CHAPTER 13 問い合わせ処理の仕組み

 CHAPTER 14 更新処理の仕組み

■SECTION Ⅳ トランザクション処理

 CHAPTER 15 トランザクションの概要とACID特性

 CHAPTER 16 Oracleのトランザクションと隔離性

 CHAPTER 17 Oracleのロック機能

■SECTION Ⅴ 起動・停止とリカバリの仕組み

 CHAPTER 18 インスタンスの起動と停止

 CHAPTER 19 リカバリ処理の仕組み

■SECTION Ⅵ Oracle Net Servicesとクライアント/サーバー

 CHAPTER 20 基本的な接続形態とNet Servicesの構成

 CHAPTER 21 動的サービス登録/共有サーバ構成/データベースリンク

 タイトルの通り、上級のエンジニアを目指す人向けなので、初心者にはやさしくないのかもしれない。とはいえ、図も豊富にあり、サンプルコードや結果のリストなどもふんだんに出てくるので、手許にOracle環境置きながらトライしてみるならば、それほど熟練したOracle技術者である必要はないおも思われる。

 この本は誰が著者なのか知らずに受け取ったのだけれど、よく見たら株式会社コーソルの技術者の人たちだった。ここの会社については、個人的にも知っていて、Oracle技術に特化したエンジニア集団で、ニッチと言えばニッチな世界でビジネスを展開している。ともすると、ITエンジニアは、大抵のことは「何でもできます」、顧客からの要望があれば「何でもやります」という状況に陥りがちだけれど、ここは「Oracleができます」というのを前面に打ち出している会社だ。ということで、Oracleでは実績のあるエンジニアよる著作ということになる。

 目次を見てもらえば分かるように、データベースのアーキテクチャというよりは、Oracleのプロになるということで、Oracleの内部構造を明らかにして、それに沿った設計なり実装なりについて解説がなされている。ロックの仕組みなどについても、具体例を取り入れて解説されているので、分かりやすそうだ。

 ちなみに値段は、2600円(+税)。ページ数は383ページもあるので、高いという感じはしない。なんとなくOracleを使っていて、それなりに使えるけれど、Oracleが得意と言うほどではないかなと言う人は、一度手にして読み込んでみると、そこからは「自分はOraclが得意です」と言えるようになるかな。

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