1959年製のリンカーン コンチネンタルがエコカーになる
Dreamforce初日、オープニングキーノトセッションにはロック歌手のニール・ヤング氏が登場した。
ニール・ヤング氏は、NPOの活動を通じSalesforce.comのCEO マーク・ベニオフ氏とは友人関係にあるとのこと。その彼から、新しいアイデアがあると電話で相談を受けたそうだ。その内容は彼の旧い自動車のコレクションを、なんとかエコカーにできないかというものだった。
エコカーとしては、トヨタのハイブリッドカー プリウスなどがすでにある。しかし、プリウス自体はエコカーかもしれないが、それそのものを工場で生み出すにはかなりの量の石油を消費するという問題があると言う。
「もう、石油の奴隷にはなりたくない」とベニオフ氏。こうしたいというビジョンもあったしインスピレーションも感じていたけれど、ヤング氏から電話をもらったときにはどうしていいか分からなかったと言う。そこで、世界中の人がアイデアを交換することでこれを実現できるのではないか、インターネットを使えばそれが可能ではと考えたと言う。
結果的にはGoogleで検索してさまざまな人を見つけ、助けを得ることができた。CNG(圧縮天然ガス:Compressed Natural Gas)を利用することで、走行中に充電なしでもOKなエコカーを実現したのだ。具体的には、リンカーンのエンジンをモーターに交換した。このモーターは200馬力を発揮し、最高時速は160マイルも出るとか。一度充電した電力だけで、80〜160マイル走行できるとか。そして電気が足りなくなれば、CNGで動くロータリーエンジン発電機で発電して電力を補うことができるのだ。
この発電機のパワーはじつに強力で、75kWの電力を出力できるとか。これで一般の家庭なら6軒ぶんは発電が可能だとか。なので、この車で帰宅したならば、家のコンセントから充電するのではなく、逆に家に電力を供給できる。ちなみに、ガソリンエンジンとCNGエンジンを比較すると黒煙、NOx、SOxなどは大幅に削減できる。しかしながら、二酸化炭素の発生は20〜30%ほど少ない程度らしい(Wikipediaの記述によると)。こちらの場合は、直接CNGエンジンで走るのではなく、一旦発電するのでどの程度のエネルギーロスがあり、その結果二酸化炭素排出量の削減効果がどの程度あるのかはちょっと不明ではある。
ステージには実際に改造したリンカーン コンチネンタルが登場。ベニオフ氏によると、電気で動いているときは走行音がきわめて静かだとのこと。この車の走行の情報などは、すべてRSSでフィードされており、100%ネイティブなforce.comアプリのサイトで公開されている。
「ビジョンを持った人間がいて、それを実現する米国の技術力がある。ビジョンを持った人と技術を持った人を結びつけることでこれが実現した。」(ベニオフ氏)
ベニオフ氏は、こういうことが可能だと言うことを示したかったのだと言う。