CRMとSOAがなんだか似ている
ここ最近S、OAについて取材だの調べ物だのして追いかけている状況が続いている。で、いくつか話を聞いたりしていて、なんだかSOAの状況ってかつてのCRMの状況とすごく似ているかもしれないと。
CRMは、かつては失敗プロジェクトの代名詞のように言われていた。大規模CRMパッケージの導入プロジェクトは、大きな費用を投じたのに何ら成果が導き出せないというイメージができあがっていた。
これは、乱暴な理由付けになるかもしれないが、CRMというのが会計や人事などと異なり、アプリケーションを入れただけでは何もできない、何も起こらないというのがその原因だったのだと思う。いくら立派な顧客DBを構築して、それをMarketingの仕組みと連携させたからといって、それだけで何か新たな顧客が獲得できるわけではない。実際の顧客のデータ、Marketing活動の結果を蓄積してはじめてCRMの仕組みを回す基礎ができあがり、そこから仕組みを何回か回して初めて効果となる新たな顧客にリーチできるようになるのだ。
SOAも同じで、既存の仕組みをエンタープライズ・サービスバスでうまいこと連携するだけでは何も起こらない。まあ少しは便利になるかもしれないけど、SOA本来の効果は、その連携された全社規模のITシステムが、何かビジネスの変化がありその変化に迅速に対応できたときに初めて発揮されるのだ。お金も手間もかけ連携はできたけれど、ビジネスの変化の際に、また一から仕組みを組み替えてそれに莫大な手間とコストがかかるようではSOAっていったいなんだったのって話になりかねない。
ということで、CRMもSOAも技術的に立派な仕組みを入れただけでは効果が出ない、そして、実際の効果は入れてからしばらく経って仕組みとして回すことができるようになって初めて現れる。この2点がすごく状況的に似通っているように思うのだった。
で、CRMは最近は失敗プロジェクトの代名詞とはなっていない。その1つの要因にはSaaS型のカジュアルなCRMの登場にあるのではと思っている。SaaSの場合は、仕組みを構築することに注力することはない。そりゃそうだ、仕組みはすでにあるのだから。やるのは、とにかくデータを蓄積して使うところから。このとにかく使うところから始められるというが、じつはSaaS型CRMの大きなメリットなのではないだろうか。
ITmediaで紹介されている以下の事例も、CRMという仕組みではなくとにかく使うというところからアプローチしたからこその成功事例なのではないだろうかと思うのだった。