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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

クラウドが日本のIT業界に関わる技術者を元気にする

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 本日とある取材で、とても共感できる話を聞いた。3Kと言われて若者からも敬遠されているIT業界を、もしかしたら元気にするかもしれないという話だ。

 取材はとある企業の災害対策の事例で、こちらはそのうち記事としてTechTargetで公開される予定。

 IT業界の特に技術者の仕事が、どうすれば興味深く楽しいものになるのか。いまIT業界の中で嬉々として技術者が働いているのは、Googleのようなクラウドサービスを提供しているところだろう。その反対に打ちのめされ、過酷な環境で辛い思いで働いている顧客のシステムを開発している現場がたくさんある。両者はなにが違うかといえば、辛いほうは顧客先の要求を実現するために、時間に追われプレッシャーの中でなんとかまっとうに動くものを作ろうと必死になる。そこには新しいわくわくする何かを生み出すという感覚はなく、とにかく目の前の課題をこなすことに終始する。

 対して、クラウドのサービスを作っている人たちは、新しいものを自分たちの(会社の)サービスとして開発する。いいものを作れば会社は成長するし、その結果リターンもあるかもしれない。なによりも、新しい面白いものを作るのだというのは、技術者のモチベーションを高くするはずだ。

 SaaSは、いまは特定のベンダーだけが提供するサービス形態だけれど、どの規模のどんなシステムでも、SaaSでクラウドとして提供するようになれば、技術者は顧客のシステムを作るのではなく、自分たちのサービスを構築することになる。この自分たちのサービスを作るというところは、技術者のモチベーションを高めるにはかなり重要な要素になるのではないだろうか、という話になったのだ。

 取材に対応してくれた方も、これですぐに大きく業界が変わることはないだろうが、SaaSやクラウドはIT業界の3Kを払拭できる1つの要素ではとも言う。いまはSaaSやクラウドは、効率などの直接的なメリットだけで評価されている。これを、そこで働く技術者のモチベーションを高める環境と捉えるのは、かなり面白い。日本のIT技術者を救うのは、もしかしたらクラウドなのかもしれないとちょっと感じた、今日の取材だった。

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