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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

撤退

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 東芝がHD DVDから撤退というニュースを聞いたとき、思っていたより素早い決断だったなぁと感じた。昨年末くらいでかなり勝敗は決していたようには思うが、とはいえあれだけ強気だった東芝なので、もうちょっと悪あがきするのかと思っていた。

 まだ市場に若干の混乱はあるとは思うが、結果的には早めの撤退で傷口を広げずに済んだのではないだろうか。撤退はそれまでの投資を無駄にするだけでなく、撤退のためにさらにコストがかかるので、決断にはかなり勇気がいることと思う。

 携帯電話の端末でも、撤退がいくつか見られる。三洋電機が京セラに事業譲渡で撤退するのに続き、三菱電機は譲渡することなく「完全撤退」を決意とのこと。これも早めの撤退か。いままでの投資で得られたものは、同社の別の分野で応用するという。個性的な三菱のフリップ式の携帯に、愛着を感じているユーザーも大勢いるのではないだろうか。東芝も三洋電機も三菱電機も、日本を代表する総合電機メーカー。なんでも提供するから、強いところに注力することで競争力の確保をせざる得ないのだろう。

 ところで、個人的に悪あがきは傷口広げるんじゃないのと強く感じているのが、新銀行東京。東京都からの400億円もの追加投資で延命するより、東芝や三菱電機のように、早めの撤退を決断すべきなのでは。

 先日、じつはここに融資の話を聞きにいったことがあるのだけれど、融資の金利も場合によってはノンバンク並みに高いし、どう考えても魅力には欠ける。無担保、無保証とはいえ、経営者は連帯保証するわけで他の金融機関と変わらない。そもそも、都内に拠点1箇所で、今後まともな融資のビジネスができるのか、はなはだ疑問。

 新銀行東京の周りにはビジネスを見通すセンスのある人がいないのか、はたまたいてもその人の意見が浮かび上がることができない泥沼に、すでにどっぷり深くはまりこんでいるのだろうか。

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