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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

エンタープライズにWeb2.0

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 昨年のサンフランシスコのOracle OpenWorldで、エンタープライズ分野にもWeb2.0の技術を取り込んでいくという話を聞いたときには、なんだかオラクルもコンシューマの時代の波に乗り遅れないよう無理しているのかなと感じていた。

 月曜日に行われたOracle WebCenterの記者発表に参加して、オラクルのWeb2.0のとらえ方が少し理解できた気がする。Web2.0というと、どうしてもマッシュアップなどの新しいWebベースの「使い勝手の良さ」に関心がいってしまう。Google Mapなどを取り込むのがその典型であり、たしかに地図情報を加えると見た目にも便利になるWebページは多そうだ。

 とはいえ、たとえばトラック配車のアプリケーションで地図上にアニメーションが表示できるというのは面白いものだが、それでどれだけ業務が効率化できるかはちょっと疑問でもある。今回のWebCenterでは、もちろんこのマッシュアップもできる。とはいえ本質にはSOA的なシステムの連携を、インターフェースのところでもやるというのが肝のようだ。

 BPELエンジンなど使って既存システムをバックエンドでSOA連携できたとしても、それぞれのアプリケーションのインターフェイスまでもを連携されるわけではない。ユーザーは、意識して連携されたアプリケーションを、切り替えて使うことになるのだろう。仮にポータルで連携したアプリケーション画面を寄せ集めたとしても、それぞれは独立したものでスムーズに連携させることは難しい。難しいというか、それなりに開発というかカスタマイズが必要になるはずだ。

 WebCenterは、そのあたりをきわめてスムーズに連携する。まるで統一された新しいアプリケーション画面のようだ。これが、たいした開発作業もなしに実現できるという。

 この画面を見ていると、来年には出てくるであろうOracle Fusion Applicationsの姿がなんとなく想像できる。買収したPeople、Siebelなどを無理矢理に統合したものではなく、統合できるところ、すべきところは密に統合作業をおこない、そうでない部分についてはWebサービス化さえできれば、インターフェイスはWebCenterを使って1つに統合可能。まったく異なる出自の巨大なアプリケーションパッケージ同士を、どのように融合していくのだろうかと穿った目で見ていたが、WebサービスやWeb2.0の技術を使えば、それほど難しいことではないのかもしれない。システム開発の技術的な部分よりも、むしろビジネス的なロジックの整合性をとるほうが難しそうだなと感じた。

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