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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

SaaSでいくべきか自社内に置くべきかは二者択一ではない

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 これまた先週の発表会の話題だが、クオリカがHPのブレードサーバーを使ってシンクライアント環境のASPサービス開始の発表をおこなった。

 いつものように発表の内容は、@ITITmedia本体の記事で確認してほしい。セキュアで運用管理の手間がない環境が、安価に迅速に導入できるという。1台あたりの費用は月額11,800円からとのこと。これにはクライアントOSのライセンスまでは含まれるが、シンクライアントのマシンの費用は含まれていない。オプションで追加するか、既存のPCなどを利用するとのこと。シンクライアントの代わりなので、スペックの低いPCでも十分事足りるのだ。

 年間にするともちろん最新のPC1台が十分に買えそうな費用が最低でも発生するわけだが、100台なりのPCの管理をする人件費や保守体制を考えたならば、それほど高い費用ではないだろう。むしろ専任の技術者が管理してくれる安心感との引き替えと考えれば、安いと言えるのかもしれない。

 ところでこの仕組み、クライアント環境だけをシンクライアント化してASPで提供されても、実はあまり嬉しくない。仮に業務システムが社内にあったならば、クオリカのデータセンターと社内を別途VPNなりでセキュアに接続する必要があるだろう。これではすぐそこにサーバーがあるのに、えらく遠回りしてアクセスすることになる。結局のところ、このASPサービスを採用するならば、社内システムについてもアウトソーシングでクオリカのデータセンターで管理してもらうなどという状況に思い切って移行すべきだ。そうでないと、運用管理の負荷の削減と使い勝手の両立は難しい。

 そうなれば、それ相応のアウトソーシングの費用が発生することになる。SaaS型でいくのか、あるいは自社内にサーバーを設置するのかと同じような選択を迫られることに。SaaS型のメリット、自社内設置のメリットはそれぞれに主張されどちらが優れているかといった会話はよく聞こえてくるが、現状は両者が混在する形での利用が現実的だ。このハイブリッド状態の適切な運用形態の選択というのは、まだまだ事例も少なく正解が導き出しにくいところだなと感じている。


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SaaSアウトソーシング

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