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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

Web2.0は多様性を認めるということじゃないか

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 学生時代、自然環境の保全といったことをテーマに学んでいた。その勉強の成果は、その後の仕事ではあまり役立ってはいない。もちろん物事の考え方であるとか、知識の身につけ方といったことは、研究分野にかかわらず応用の利くものだとは思っているが。当時の自分の論文の結論が、多様性の高い環境がよいもので、多様性を維持することで安定性が増すといったような内容だった。

 ところで、今日のブロガーズ・ミーティングに参加していて、ふと頭に浮かんできたのがこの「多様性」という言葉だ。ロングテール理論の話を、マイクロソフトの成本さんが説明していた時のことだ。テールの部分を最初から目指してビジネスをするのは難しい、とはいえ頭のほうの売り上げの高い20%だけで商売していると、なんらかのインパクトがあったときに一気に市場を失う危険性がある。そういうわけで、最近では頭としっぽのあいだの、お腹の部分を重要視するようになってきている、との話のときだ。

 まさに自然環境の話と同じだなと思った。たとえば、単一種で構成されている森林は見た目には整然としていて美しいかもしれないが、外的刺激で一気にバランスが崩れすべてが枯れてしまうことがある。それよりはモザイク構造で雑多で、多様性が高いところのほうが外的刺激などには強く安定している。

 ITの世界は、これまでは単一で整然としたものを理想とし、その姿をベンダーがそれぞれ掲げて推し進めてきたところがある。であるからして、自社の製品やサービスがもっともいいものだから、是非ともみなさん使いましょうというマーケティングとなっていた。ところがWeb2.0という時代になってからは、マッシュアップであったりあるいはエンタープライズ系でいうならばSOAであったり、他人を認めてそれらをうまく融合させ新しいサービスなり、ユーザーが欲するものなりを生み出しましょうという方向性になってきている。特定のベンダーで一色に染めましょうというのでなく、まさに多様性を認めそれをよしとする世界だ。

 こういった話が、マイクロソフトから出てきているというのもとくに興味深いところだ。多様性を認めるということは、そこから生まれる価値も多様になるということで、こうすればビジネスとして成功するという法則が成り立ちにくくなる。つまり、ロングテールだって、それを目指してうまくいく商売もあれば、いかない商売もあるということ。やってみないとわからなかったり、となりが成功しているから自分が成功するとも限らないということ。逆に、ほかと異なるやり方やターゲットでも成功するかもしれない。

 そんなときに技術者はどうこれらに関わっていけばいいのか、というのが今日のミーティングの最後の話題だった。じつは、ライブ終了後にも、この話題で参加者同士でひとしきり意見交換が行われた。技術者が特定の技術を突き詰めるのもいいが、同時にコミュニケーション能力を身につけるべき、そして自分からなにがおもしろいのか、そのためにどうしたらいいのかといったことを「発想」する能力を養うべきでは、といった意見がでていた。Web2.0時代の技術者の方向性や必要な資質、行動の指針みたいなものについては、今後も考えていきたいテーマだなぁと、あらためて思わされた今日のミーティングであった。

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