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エコロジーでエコノミー

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 先日開催されたOracle OpenWorldのスポンサーキーノートに、初めて登場したのが、サン・マイクロシステムズのCEOであるジョナサン・シュワルツ氏だ。その時点でCEOに就任して184日目、レポート記事にも書いたが前任のスコット・マクネリ氏とは対照的ともいえる穏やかで紳士的な語り口のスピーチだった。

Jonathan  かなり厳しかったサンの業績も、ここのところ回復の兆しにあるようだ。何となく溢れていた落ち着いた雰囲気は、そういった気持ちの余裕の現れだったのかもしれない。ソフトウェアのオープンソース化のくだりはなかなか興味深く、OSのオープンソース化のどこに商売の種があるのかと思っていたが、HPやDELL、IBMが自社にとってはチャネルパートナーだといったあたりで妙に納得してしまった。

 個人的に一番気になったのは、セッションの最後で紹介されたプロジェクト・ブラックボックスの話題。なんだか、米国のお金持ちなら、自宅にこんなコンテナ置いちゃう人がでてきたりするのだろうか。さらに、データーセンター用のビルを建てるには相当な費用がかかるが、これなら土地と電気と水道とネットワークがあればOK。施設の増強も、コンテナを増やすだけ、容易にデーターセンタービジネスに参入できるかもしれない。そしてこのコンテナの目的が、省エネであり省スペースというのも気に入っている。こういう面白い考え方ができるサンには、昔からどうしても期待感をもってしまう。

 ところで、じつは今回のOracle OpenWorldでは、キーノートにAMDのヘクター・ルイズ会長兼CEOが登場して、やはり省電力の話をしている。そういったことを受けてか、オラクルの執行副社長を務めるチャック・ロズワット氏のセッションの最後でも、エコロジーについてのメッセージがあった。AMDにとってはもちろん、省電力と低発熱は最大のセールスポイントでもあるが、ソフトウェアベンダーのオラクルからエコロジーのメッセージが出たのにはちょっとした驚きがある。自動車などの環境問題に直面している企業以外にも、エコロジーへの取り組み姿勢に変化がやっと訪れたということか。

 英国政府の報告によると、このまま地球温暖化が進むと、温暖化ガス排出量が2035年に2倍に膨らみ、干ばつなどで世界全体で国内総生産(GDP)の20%相当が失われるとのこと。シュワルツ氏がセッションの最後で、プロジェクト・ブラックボックスは同社のエコロジーの担当者が管轄と説明していた。そして、氏によるとこのエコにはエコロジーとエコノミーの2つの意味が込められているとか。目前の生産性を上げる努力や工夫をしても、結果として温暖化が進み、数年後に世界全体で無駄な費用が嵩む温暖化が進んでしまっては、企業の将来は暗いものになる。エコロジーでエコノミーが、ハードウェアベンダーだけでなくソフトウェアベンダーにとっても新たなキーワードになるのかもしれない。

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